働くママの“時短料理”のコツ 料理研究家の田内しょうこさんに聞きました!

働くママの“時短料理”のコツ 
料理研究家の田内しょうこさんに聞きました!

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4月から、育休明けで職場復帰したママもたくさんいることでしょう。家事と育児の両立は思っていたより大変なのでは? そんな働くママに時短料理のテクニックをお伝えします。教えてくれたのは、手際よくおいしいごはんを作るためのワークショップを開く、料理研究家の田内しょうこさん。帰宅後の短い時間でも子どもにバランスのいい食事を与えるにはどうしたらいいのか? 田内さんのワークショップを覗いてみました。

世田谷区のコミュニティースペース「松陰会館」の貸しキッチンを利用して開催された「復帰ママのための時短料理ワークショップ」に集まったのは、それぞれ小さな子どもをもつお母さんたち10人。みなさんもうすぐ育休が明けて、仕事への復帰が決まっているママさんです。

おもちゃや絵本が用意されたスペースで子どもたちが遊ぶ中、ワークショップは始まります。田内さんが提案するのは“仕事を終えて家に帰ってきてから、約20~30分で3品の料理”を作ること。そこにはどんなコツがあるのでしょうか。

 

その1 「前倒し&小刻み作業の習慣を身につけて」

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はじめに田内さんは“作業を前倒しにし、さらに小分けにする習慣を身につける”大切さを説明します。「料理を作るときは、冷蔵庫から素材を出し、野菜は洗ったり切ったり、お肉やお魚に下味をつけたりと、さまざまな下ごしらえから始めますよね。でも実は、焼いたり揚げたりといった仕上げの調理よりも、下ごしらえに時間と手間がかかります。そこをどう短縮するかを考えるのが時短料理の一番の基本です」。

たとえば、「時間があるときにそれぞれの野菜を刻んでビニール袋に入れておく。たったこれだけの作業でも、料理にかかる手間が断然違います。野菜さえ切っておけば、あとは炒めたり、揚げたり、と調理するだけ。これは、街場の中華料理屋さんと同じ手法です」と田内さん。「切った野菜はビニールやジップロックに入れて冷蔵庫で保存。塩漬けにして水気を切らずにそのまま保存すればさらに日持ちもして便利です。季節によって保存可能な日数は変わりますが、目で見て匂いを嗅いで問題なければ大丈夫」。

この“前倒し”にプラスして、その作業を分割して行う“小刻み作業”が重要なポイント。これは、翌日のごはんの用意を前日の夕食のしたくのときに一緒にやったり、平日の分の下ごしらえを週末にまとめてやったりということではなく、日々の生活のほんのちょっとの時間を有効活用し、そこに作業を埋め込んでいくという考え方。お湯を沸かしながらちょっと作業。テレビの天気予報を見ながらちょっと作業。空いた時間を見つけてはまた作業……と、5分でも10分でも時間をつくりだして下ごしらえします。まとめてやる時間をとろうと思うと、ハードルが上がってしまうので、途中分断されてもOKというのがコツです。

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すき間時間を見つけてきゅうりをスライス。そのまま塩漬けにしておくと、酢の物やサラダなどが簡単に。

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にんじんはスライサーで細い千切りにしておけば、サラダやシンプルなマリネがいつでも作れる。

「みなさん、お洗濯は分断しながらやりませんか? ちょっとのすき間の時間に洗濯機に洗い物と洗剤を入れてスタートボタンを押す。洗い終わってもすぐに干さずに、手が空いたときに干すということを普通にやっていると思います。食材の下ごしらえもそれと同じ。すき間時間を利用して、ちょっとずつ、やっていけばけっこう終わるものですよ」

この田内さんの言葉に、ママたちも納得の表情です。

 

その2 「いい調味料をそろえよう」

時短料理のもうひとつの重要な基本が“調味料はいいものをそろえる”こと。塩やしょう油といった基本の調味料がよいものだと、それだけで料理の味がアップするそう。

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「たしかに値段はちょっと高価。それでも、外食やおかずを買って帰ることに比べるとずっと安上がりです。それに、手間ひまをかけてなくてもおいしいものが作れると、それがお母さんの自信にもつながります」

材料の一部である調味料選びで“ラクしておいしく”を目指しましょう。

その3 「味付けの基本パターンを身につけよう」

次に田内さんがあげたのは、“料理の基本パターンを身につける”。料理をするときにいちばん効率が悪いのは、レシピを確認しながら行うこと。作り方を見つつ、調味料の分量まで計っていたら、いくら時間があっても足りません。料理の基本を覚えれば、あとはバリエーションで何種類ものレシピを作れるようになります。

和食だったら味付けは、砂糖、しょう油、酒、みりんが基本。煮物も、肉や魚の漬けだれも、うどんの汁もみな作れます。この基本の配分だけ覚えましょう。本来は季節や素材に合わせて味付けも細かく変えるべきでが、家庭の料理ではそこまでしなくても十分おいしいごはんが作れます。基本の味付けに、みそやお酢を足せば別の料理になりますし、生姜やにんにくなどのスパイスやごま油などの香辛料、調味料を加えることでアレンジがどんどん広がります」

まずは、おおよそのあんばいを感覚で覚えること。それだけで大きく時短が可能に。

また、田内さんは献立をあらかじめパターン化しておくこともすすめます。献立を決めることに余計な時間をつかわずにすむからです。たとえば、朝ごはんはパンとスープ、夜ごはんは一汁二菜など。こうすれば、そのパターンに合わせて献立を考えればOK。

「仕事でもそうですよね。ゼロから新しい企画を考えるのは大変ですが、ある程度スキームをつくっておいて、その中身を入れ替えるだけならそんなに労力を使いません。お料理も仕事と同じです」

仕事感覚で料理をする……。これまた“なるほど”のアイデアです。

 

その4 「合わせ調味料を使いこなそう」

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料理の苦手なママにとって、その3のテクニックは少しハードルが高いかもしれません。そんな人には、“合わせ調味料の活用法”をおすすめします。田内さんが紹介するのは、しょう油、みりん、砂糖を合わせたシンプルな万能たれ(※レシピ参照)。煮物や焼き物はもちろん、このままあらゆる料理の味付けに使えます。お酢をプラスすれば三杯酢のようにもなるので、手間をかけずに酢の物も完成です。

「万能たれの保存は、使い終わったしょう油瓶を利用します。しょう油自体が発酵調味料で水を含まないので瓶を煮沸する必要がないし、料理をするときにも瓶からそのまま使えて便利。みなさんおしゃれな保存瓶などを使いがちですが、口が広いとわざわざスプーンを使ったりしなくてはならないので面倒だったり、こぼれやすいので、おすすめしません」

こんなちょっとした工夫も、積み重ねていけばかなりの時短に。田内さんオリジナルの万能たれレシピをご紹介しましょう。

【万能たれ】(作りやすい量)
<材料>
しょう油…2カップ
みりん…大さじ3
砂糖…70~100g

<作り方>
(1)材料をすべて合わせ、砂糖が溶けるまで小鍋で加熱する。
(2)あら熱がとれたら、保存ビンに入れて保存する。

作るのが面倒という人は、市販のものでも大丈夫。でも、材料を合わせて混ぜるだけなので、簡単ですよね。

 

その5 「塩もみ野菜を常備しましょう」

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きゅうりやにんじんを塩でもんだものを用意しておく。これが時短につながります。たとえば、きゅうりの塩もみは水気を絞り、マヨネーズを塗ったパンにはさめばそれだけで「きゅうりのサンドウィッチ」のでき上がり。忙しい朝の朝食メニューにぴったりです。万能たれとお酢を加えれば、きゅうりの酢の物に。にんじんの塩もみなら簡単にサラダがつくれます。
きのこもさっとゆでて塩漬けにして保存すれば、スープ、グラタン、炊き込みご飯の具に。アレンジがきいて、きのこ自体が出汁の役割もしてくれるので、ぜひ作っておきたい塩もみ。子どもに野菜やきのこ類を食べさせられるので、ママの気持ちも楽になるはずです。

その6 「事前に献立を立てよう」

最後に田内さんが提案するのは、献立を前もって決めておくこと。すでに「基本パターン」のところで、献立のルール化については触れましたが、献立を体系的にプランニングする習慣を身につければ、さらに効率がアップします。献立はまとめて決めておくと、
(1)帰ってきたらすぐ料理に取りかかれる
(2)下ごしらえをするときに翌日分や、その先の分まで準備ができる
(3)買い物もまとめてできる

というメリットがあるからです。

ごはんを作ることばかりに気を取られがちですが、買い物の時間を短縮することも大事。とくに子どもを連れての買い物の大変さを、第一子で経験済みのママたちは大きくうなずきます。「買い物に行く時間を効率的につかえれば、そのぶん自分の自由な時間が増えますよね」との田内さんの言葉に、ママたちの表情もがぜんやる気になった様子でした。

いきなり1週間分をまとめて考えるのは難しいので、まずは明日の献立。それができたら3日分と少しずつ増やしていきましょう。もちろん、「今日は絶対カレーが食べたい!」という気分になったら、予定など無視して食べたいものを食べるのも◎です。

「食べたいものが思い浮かぶというのは、それだけママが元気な印。問題は食べたいものが思い浮かばない、献立が決まらない、食事の支度が大変だと思うときです。そんなときのために、なるべくいろんなことをルール化しておき、考えなくてもごはんをつくれるようにしておくのが時短料理です」

 

時短料理を作るイメージが明確になった!

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田内さんの講義が終わる頃、部屋の中はおいしそうなごはんの匂いでいっぱいになりました。というのも、このワークショップでは、時短料理についての講義を行いながら、実際に田内さんが目の前で野菜を切り、お肉に下味を漬け、レシピの説明も交えながらクラスを進行します。お話の中にでてきた野菜の下ごしらえや万能たれなど、時短料理のルールに基づいたシンプルなレシピで、次から次へとおかずが完成していくのを見るのは楽しいもの。最後にはみんなで今日の献立をいただき、参加者が“コツさえつかめば時間をかけずともおいしいごはんが作れる”ことを実感できる内容となっています。

子どもと一緒に試食タイムを楽しむママたちに、感想を聞いてみました。

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「もともと料理をほとんどやったことがなかったので、いろいろと勉強になりました。ちょっとずつがんばってみます」(25歳・一児のママ)

「現在二人目の育休中ですが、一人目のときは何もわからなくて、今回は自分の時間をどうやって作るかの確認ができてよかった」(30歳・二児のママ)

「要領が悪いのが悩みなので、とりあえずキッチンの動線を考えてみようと思います」(28歳・一児のママ)

「キッチンの道具を見直そうと思いました」(26歳・一児のママ)

「育休中からなるべく時間をかけないようにと心がけていたのですが、今日は確認ができてよかったです」(27歳・一児のママ)

みなさんそれぞれに、仕事復帰後のごはん作りのイメージが明確になったようです。

「おいしいごはんが作れたらママの自信になると同時に、何よりもママ自身の元気につながります。いつも同じメニュー……と悩む人もいますが、同じメニューだって子どもがおいしいと言って食べてくれるならそれでいいのです。大切なのは、子どもが大きくなったときに、おうちのごはんがおいしかった記憶があること」と田内さん。これから毎日のごはん作りに奮闘するママたちは、大きく励まされた様子でした。

ワークショップが終了した後、今日の献立のレシピや、子どもが好きな料理の作り方もお聞きしたので、次の「働くママの“時短料理レシピ” 料理研究家の田内しょうこさんに聞きました!」でご紹介します。

 

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【プロフィール】
田内しょうこ(たうち・しょうこ)
料理研究家として「忙しいワーキングマザーのための料理」「子育て料理」をテーマに、さまざまな媒体で活躍中。出張教室やセミナーのほか、食と子育て関連の情報発信のための編集・ライター業にも携わる。著書に『時短料理のきほん』(草思社)、『働くおうちの親子ごはん』シリーズ(英治出版)など。
田内しょうこ公式ブログ「働くおうちの親子ごはん!」
http://tauchishoko.seesaa.net/

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