イクジイ・イクバアは当たり前? 子育ての現在形“3世代育児”のススメ

イクジイ・イクバアは当たり前?
子育ての現在形“3世代育児”のススメ

妊娠・出産インフォ

昨今、積極的に孫育てするおじいちゃん(イクジイ)、おばあちゃん(イクバア)に注目が集まっています。

そんな中7月4日、産経新聞大阪本社でミキハウス主催「おじいちゃん、おばあちゃんのための赤ちゃんセミナー」が開催されました。セミナー会場にはこれからおじいちゃん、おばあちゃんになる方々、ひ孫の誕生を楽しみにされているプレひいおばあちゃんの姿も。

01

参加者のみなさんは当初緊張した様子でしたが、セミナーが進むにつれ徐々に表情が柔らかくなっていきます。赤ちゃんの人形を使い、おむつや肌着の着せ方を実践するころには、まるで本物のお孫さんと接しているかのような愛おしそうなお顔をされているのが印象的でした。

02

参加者のひとり、谷本さん(70代女性)は「息子たち夫婦の子育ての手伝いができればと、参加しました。孫の世話って母親の親がやることの方が多いでしょ。私には娘がいないのでなかなか孫育てをする機会がなくここまできました。でも、やっぱり孫と触れ合いたい。そのためにはちゃんとした“知識”が必要かなと思いまして、勉強するつもりで来たんですよ」と笑顔で語ります。

ご夫婦で参加された長谷川勝弘さん(76歳)、博子さん(71歳)は、昨年初孫が誕生し、この秋には二人目のお孫さん誕生の予定があるとか。

03

一人目の孫のとき、なーんも知識がなくて抱っこもできなかったんですよ(苦笑)。二人目はぜひ、孫育てに参加したいと思ってね、こうやってイベントに参加しました。3世代育児がブーム? たしかにそういう人はまわりにも多いですね。それどころか、わたしらの友だちには70代でひ孫育てしてる人もいますわ。ええ、4世代育児です(笑)」

会場から多く聞かれた意見は、「このようなイベントがほしかった」「もっとやってほしい」の声。いまや孫育てに高い関心があるおじいちゃん、おばあちゃんは多いようです。

 

「祖父母手帳」で3世代育児を応援するさいたま市の例

04

3世代育児を促進する活動は行政側でも積極的に行われています。中でも、埼玉県さいたま市が平成27年12月に発行した「さいたま市祖父母手帳」は、同市が実施している「孫育て講座」とともに、話題を呼んでいます。

そこで、さいたま市こども未来局こども育成部子育て支援政策課の小池祐司課長補佐に、お話を伺いました。まずは祖父母手帳の狙いについて、小池さんはこう言います。

「第一には、最近の子育て情報を祖父母世代に理解してもらうことです。『抱きぐせは気にしなくていい』『母乳の場合は、赤ちゃんが欲しがったら授乳する』など、子育てに関する常識は変わっていますからね」

さいたま市祖父母手帳には、「親世代との上手な付き合い方」、「子育ての常識の昔と今の違い」、「孫とお出かけスポット」、「孫育てを支えるサービス」など、現代の子育てに必要な情報が分かりやすくまとめられています。

「この冊子はシンプルに情報として大変役に立つと思います。ただそれだけでなく、この冊子をきかっけに、子育てや孫育てについて話し合うきっかけにしてもらえたらうれしいです」(小池さん)

05

初版の祖父母手帳1万部は、配布を始めるとすぐになくなり、3世代育児への関心の高さに担当部署の方たちは驚いたそう。3世代育児への関心はさいたま市に限ったことではありません。

実際、祖父母世代に子育ての手伝いを期待する親世代の声は、地域を問わず多く、内閣府が平成25年に行った「家族と地域における子育てに関する意識調査報告書」(※参照)で、「理想の家族の住まい方」(報告書19ページ参照)をたずねたところ、20.6%が祖父母と同居、31.8%が祖父母と近居と回答しています。また、子育てについても「子供が小学校に入学するまでの間、祖父母が育児や家事の手助けをすることが望ましいか」(同50ページ参照)の問いに「そう思う」と答えた人はなんと8割近くに上ります。今、子育て世代が、イクジイ・イクバアを強く望んでいる、とも言えます。
(太字、下線は編集部によるもの)

 

「孫育て」から「地域の子育て」へ

06

「祖父母手帳」にはもう一つの狙いがあると、前出・小池さんは言います。それはシニア世代による、地域の子育てへの貢献。祖父母世代の孫育ては、数年で終わるものですが、一度孫育てを経験した祖父母世代なら、地域の子育ての担い手として、近くに住む子どもたちの成長を見守る活動ができるのではないか、というのです。

さいたま市には、市から委託を受けたNPO法人が運営する「さいたまファミリーサポートセンター」があり、保育園や幼稚園、習い事への送迎や一時預かりなど、子育てを手伝ってほしい人(依頼会員)と手伝いたい人(提供会員)の仲介をしています。

「『祖父母手帳』や『孫育て講座』で、最近の子育て情報を多くの祖父母世代に発信すれば、地域の子育てを手伝いたいという提供会員を増やすことにもつながるかもしれない。そうすれば、このサービスを必要とするママやパパが、もっと利用しやすくなる。祖父母世代が地域にコミットし、地域の子育てをサポートすることで、この地域がよりよいものになっていくものだと思っています」(小池さん)

子育て世代にとっては、地域に住むイクジイ・イクバアにサポートを受けられ、一方でシニア世代は地域の子どもを育てることで深く地域に関わることができる。3世代育児は、家族の枠を超えて、地域全体を活性化させることにもつながっていく可能性を秘めているのかもしれませんね。

大人たちが連携して地域の子どもたちみんなを見守る街。日本の未来を創る子どもたちをそんな街で育てるために、シニア世代のパワーを存分に発揮してもらいたいものです。

 

《※参考資料》
「家族と地域における子育てに関する意識調査報告書(平成25年度版)」
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/research/h25/ishiki/pdf/2-1.pdf

妊娠・出産インフォ トップに戻る