最近、街中にはベビーカーを押してさっそうと歩くスタイルのいいママたちの姿が目立ちます。育児、家事、仕事と、忙しい日々を送りながら、自分の事もちゃんと気にしている姿はとても素敵。でもママたちは、いったいどうやって、妊娠中に増やした体重を戻して、スッキリとしたからだを取り戻すことができたのでしょう。
特集「産前産後のママのからだ」第2部は、「産後に体型を戻す方法」にスポットを当ててお届けします。お話を伺ったのは、東京医療保健大学大学院医療保健学研究科教授の米山万里枝先生。先生は、長年多くのプレママやママたちに寄り添い、助言し、女性たちを支えてきました。
また記事後半では、2人の先輩ママに登場していただき、それぞれが持つ産後の体型に悩みについて聞きました。妊娠・出産を経験し、育児にもちょっぴり余裕が出てきた先輩ママたちの本音トークから学ぶこともありそうですよ。
妊娠・出産で変わる女性のからだ まずは、その現実を受けとめて
約10か月の妊娠期間の後、出産を終えた直後のママのからだには、大きな変化が起きています。妊娠や出産のために分泌されていたホルモンは、体を回復させ、授乳をうながすものへと変わっていき、ママのからだは6~8週間かけて、内側から癒やされ、妊娠前の機能を取り戻すことになります。
助産師としての経験も豊かな米山先生は、「産後は、とにかく無理をしないことです。ママのからだには経験したことのない変化や不調が起きることもあり、赤ちゃんのお世話に戸惑っていることも重なって、大変だなあと感じることがあると思いますが、少しずつ体調は戻っていくものです」と言います。
そうして、いつの間にか育児がちょっぴり楽になってきたママは、妊娠前にはなかったお腹のたるみが気になり始めます。ただ、これも自然なこと。米山先生によると、「妊娠で大きくなったおなかに引っ張られていた骨盤まわりのじん帯や筋肉は、出産でゆるんでしまいます。でも血液が循環して栄養が届くことで、少しずつ元に戻るのです」とのこと。
「母乳育児のママは妊娠期以上のエネルギーが必要なので、授乳しているだけでやせていく人もいます。それだけで妊娠前よりやせる方もいるくらい。またミルクで育てていても、慣れない育児は体力を使いますから、ママのからだは自然に引き締まっていくもの。それでもより体型を意識される方は、産じょく体操や腹筋を刺激して引き締める上体そらし、上体横曲げなどの運動をしたり、赤ちゃんを抱きあげる時に腹筋を使うなど、日常生活の中で気をつけてみてはいかがでしょうか」(米山先生)
産前産後の体型変化として、気になるのはやはり胸の部分。先生は、「母乳育児をすると胸の形が悪くなるのは、ある程度仕方がない」としつつも、「おっぱいの土台は大胸筋の上にあります。授乳のたびに引っ張られると、筋肉も一緒にゆるんでしまうので、胸や脇の筋肉を鍛えるといいようですよ」とアドバイスしてくださいます。
「『こうあるべき』、『こうでなくてはいけない』と自分を縛らないで、毎日を元気にすごすことが、産後の体型を戻すための基本」と米山先生。
子育てをしながら自分の体型を元に戻す余裕を持つためには、本人の努力だけでなく、パパや家族のサポートも必要になってきますね。
続いての章では、先輩ママのエピソードから、産前産後の体型について見ていきたいと思います。