子どもの頃からすらっとした体型が自慢だったというKさん(32歳、9か月の男の子のママ)は、妊娠して徐々にふっくらと丸みをおびてきた自分のからだがちょっぴり残念だったと振り返ります。
「赤ちゃんのためにある程度は必要だと分かっていても、出産までに12㎏の体重増を目指すように産科で指導され『3㎏の赤ちゃんを産むために、そんなに増やすの?』と驚きました」(Kさん)
そのことを助産師さんに尋ねると、「赤ちゃんが3㎏、胎盤と羊水を合わせて2㎏ぐらい。あと7㎏は赤ちゃんに栄養を運ぶために必要な血液と乳腺が発達して大きくなる胸と授乳に必要なエネルギーのための皮下脂肪の分」と教えられ、「元気な赤ちゃんを産むために必要なこと」と諭されたそうです。
当初は助産師さんの指示に戸惑いながらも、安定期になったら食欲が抑えられなくて、たくさん食事を摂ってしまい「結局14㎏増で出産しました」とKさん。予定より体重は増えたものの、無事に出産。3210gの元気な赤ちゃんだったそうです。
毎日、子育てに奔走しているKさんですが、目下の気がかりは、「まだたるみが残るおなかのこと」。
「少しずつ妊娠前に戻ってきた気はするけど、完全に元通りではないし、離乳食が進む息子は最近おっぱいを飲む量が減ったようなので、“授乳ダイエット”もあまり望めない……。だから最近ダイエットを始めました」(Kさん)
最近のママらしく、スタイルを気にしながら子育てをしているKさん。胸の形についても、いろいろと気をお使いのようですよ。
「母乳育児のママは脇に向かって胸が広がってしまうと聞いていたので、授乳用のブラはちゃんとバストをサポートしてくれるタイプを選びました」(Kさん)
一方、2歳の女の子と11か月の男の子を持つMさん(35歳)は、二児のママとは思えないほどスタイル抜群。自身のインスタグラムには、オシャレで素敵な日常の様子を日々アップしています。
Mさん本人は「それなりに努力しているんです」とポツリ。
授乳期は、母乳がうまくいかなくて、子どもたちにはミルクをあげたというMさん。同じ時期に出産した友だちより体の戻りが遅い気がしたので、2人目の時は妊娠中から「骨盤のズレを防ぐ」と産院ですすめられた骨盤ベルトをつけ、産後もつい最近までウエストシェイパーを着けていたそうです。
「夏は暑いんですけど、がんばって外しませんでした。慣れるとからだがシャンとする感じで、私は好きです」(Mさん)
すでに職場復帰を果たしたMさんは、「妊娠前の服を着て出社するのは、ひそかな喜び」と体型戻しの成果を語ってくれました。
子育てをしながら、自分磨きにも気を使うKさんとMさん。お二人に共通するのは、ママでも素敵であろうと楽しく努力しているところ、前向きな気持ちがあるところかもしれません。
もちろん妊娠・出産を経ながら、年齢を重ねていくママの体型が変わってしまうのは、ある程度は自然なこと……という“前提”は受け止める必要があるかと思います。その中でも「きれいでいたい」という気持ちを忘れず、焦らないで取り組めば、スッキリとしたからだも夢ではないようです。
【プロフィール】
米山 万里枝(よねやま・まりえ)
東京医療保健大学大学院医療保健学研究科 医療保健学部 看護学科/助産学専攻科 教授。医療福祉経営学博士。大学で看護師や助産師教育を実践するかたわら、大学内に産後ケア研究センターを設置し、キャンパスのある品川区との官学連携による産後ケア事業を行い、大学院の修了生たちと産後のママへの支援を行っている。後進の教育にも力を入れ、日本母性衛生学会などの理事も務める。研究課協力者として、「健やか21の最終評価・課題分析及び次期国民健康運動の推進に関する研究」にもかかわっている。