特集 知っておきたい「切迫流産と切迫早産」(前編)
プレママにぜひ知ってほしい
専門医が教える「切迫流産」と「流産」のこと

切迫流産の治療は“安静”にすること

1122-05

妊娠22週未満で、胎児は生存しているけれど、腹痛や出血が見られるという場合、「切迫流産」と診断されます。

「腹痛はほとんどが子宮の収縮によるものです。出血の原因はいろいろありますが、比較的多いのは、胎盤の下に血腫(血のかたまり)ができて出血するケース。これは入院して安静にしていると自然に吸収されていって治癒することも多いんです。最近はエコー検査で詳しく見ることができますから、妊娠9週〜10週であれば軽い血腫による出血か、妊娠を維持することが難しい染色体異常かを診断することはそれほど難しくないでしょう。どちらにしろ、異常を感じたらすぐに診察を受けることをおすすめします」(吉村先生)

吉村先生によると「切迫流産の治療は安静しかない」とのこと。

「医師であれば、血腫の大きさでだいたいわかります。血腫がなくて出血してくるような場合は心配がありますが、血腫があって出血してくるような場合は安静にしていれば治ることが予想できるわけです。なお『安静』ってどこまでのことを言うのって疑問に思われるかもしれませんが、これもここまでがボーダーラインですとも言えないわけです。ある程度、動いても問題ない場合もあるでしょうし。入院する必要がない人もいるかもしれない。ただ、医師としてはプレママによって『安静』の程度が違うのがこわいので、より安全策をとって入院などを進めることも多いわけです」(吉村先生)

切迫流産との診断が下されても、染色体異常が原因でなければ治るケースが多いというお話は、少し安心ができますね。「流産はママ・パパには原因がない場合がほとんど」という事実も覚えておきたいものです。

続く「知っておきたい『切迫流産と切迫早産』(後編)」では、吉村先生に「早産」と「切迫早産」について伺います。

 

〈参考資料〉
(※1)「妊娠・出産した教職員(50歳未満)の体調不良について」(日本教職員組合調べ 2017年)
(※2)「2017年看護職員の労働実態調査」結果
(※3)「平成25年度版厚生労働白書―若者の意識を探る」(厚生労働省 2013年)

 

dr

【プロフィール】
吉村泰典(よしむら・やすのり)
1949年生まれ。慶應義塾大学名誉教授 産婦人科医。日本産科婦人科学会理事長、日本生殖医学会理事長を歴任した不妊治療のスペシャリスト。これまで2000人以上の不妊症、3000人以上の分娩など、数多くの患者の治療にあたる一方、第2次~第4次安倍内閣では、少子化対策・子育て支援担当として、内閣官房参与も務める。「一般社団法人 吉村やすのり 生命の環境研究所」を主宰。

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