新米ママのための基礎知識「乳腺炎」
専門医が解説する原因と症状と対処法

妊娠中から心がけたいおっぱいケア

2

「一般的に乳製品や油分の多い食事をとっているとおっぱいが詰まりやすくなり、乳腺炎を発症すると思われている方も多いかもしれませんが、食べ物が乳腺炎の原因になるという医学的根拠はありません。それ(食べ物)よりも乳腺、乳頭などのおっぱいの状態や母乳の与え方が影響することが多いと考えてよいでしょう」と吉村先生。

そのため、ママには妊娠中からのおっぱいケアをすすめているとのこと。

乳腺炎の予防には、ママのおっぱいを赤ちゃんが吸いやすい状態にしておくことも大切。妊婦検診でも診てもらえると思いますが、陥没乳頭はマッサージなどで治すこともできますし、おっぱいを引っ張ることで乳管が開きやすくなります。妊娠中から病院の助産婦さんに授乳について相談しておいたらいいでしょう。妊娠中からおっぱいのケアをし、正しい授乳法を覚えておけば、大方の乳腺炎は防げるのではないのでしょうか」(吉村先生)

産後のママを悩ませる「乳腺炎」。しっかりと対策を取っていれば予防できる、という専門医のお話は是非とも多くのプレママ、そして今まさに乳腺炎に悩んでいるママにも知っていただきたいことです。

最後に吉村先生から、母乳育児を望むママへのメッセージを寄せてくださいました。

「母乳は素晴らしいものですから、今はほとんどの病院で母乳育児を推奨しています。でも時には事情があって母乳をお休みしなければならないこともあるし、持病の治療のために母乳をあげられないママもいます。でも母乳を与えないことに不安や引け目を感じる必要はありませんよ。なんせうちの妻は出産当時、外科医として多忙な日々を送っていたこともあり、夫婦で話し合い、娘を完全にミルクで育てました。経験者でもあり、医師でもある私が断言しますが、母乳でもミルクでも赤ちゃんは健康に育ちますから、ママの負担にならないような育児の方法を考えてもらいたいですね」(吉村先生)

3

いかがでしたでしょうか。多くの場合、乳腺炎は原因などを知識として知ってくこと、そして対策をしっかり取ることことで予防できることがわかりました。また母乳育児は素晴らしいですが「それだけ」が正しいわけではないことも、吉村先生にお話いただきました。

さて次回は、神奈川県横浜市の「アールアンドワイ母乳育児相談室」の助産師・福田良子先生に乳腺炎を予防する授乳のコツとおっぱいのケアについて教えていただきます。こちらの記事も、非常に役立つお話なので是非ご一読ください!

〈参考資料〉
※「平成29年乳幼児児栄養調査」(2016年 厚生労働省)

 

dr

【プロフィール】
吉村泰典(よしむら・やすのり)
1949年生まれ。慶應義塾大学名誉教授 産婦人科医。日本産科婦人科学会理事長、日本生殖医学会理事長を歴任した不妊治療のスペシャリスト。これまで2000人以上の不妊症、3000人以上の分娩など、数多くの患者の治療にあたる一方、第2次~第4次安倍内閣では、少子化対策・子育て支援担当として、内閣官房参与も務める。「一般社団法人 吉村やすのり 生命の環境研究所」を主宰。

この記事をシェアする

  • Facebook
  • Twitter
  • LINE

あなたへのおすすめ

おすすめの記事を見る

記事を探す

カテゴリから探す

キーワードから探す

妊娠期/月齢・年齢から探す