小児科医がわかりやすく解説
赤ちゃんのための「実践的スキンケア講座」

2019.12.05

ミキハウス編集部

保湿剤は入浴後すぐにたっぷりと塗りましょう

赤ちゃん 肌

「汚れを落すために必要な石けんですが、皮脂まで落としてしまうので、入浴の後の皮膚は急激に乾燥してしまいます」と水野先生。入浴直後は角質層にたっぷりと水分を含んでいた皮膚は、約20分後には入浴前と同じ状態にまで水分量が減少し、60分後には入浴前よりも乾燥した状態になってしまうそうです。そこで皮膚を乾燥から守るために必要なのが保湿剤です。

角質層がまだ潤っているうちに保湿剤を塗ると効果が長持ちしますから、入浴後5~15分以内に塗ってあげたいですね。また食事の後に口の周りを拭いたり、手を洗ったりした後もこまめに保湿しましょう。お母さんたちもちょっと唇が乾燥したと感じたらリップクリームを塗りますね。ああいう感覚で赤ちゃんにも保湿剤を塗ってもらうといいのではないでしょうか」(水野先生)

保湿剤や外用薬を塗るときのポイント

保湿剤はたっぷりと手にとって、こすらないようにやさしく伸ばします。軟膏やクリームのチューブなら、大人の人差し指の先から第一関節までの量を手のひら2枚ぐらいに広げて、やさしく皮膚にのせます。ローションタイプは500円玉ぐらいで手のひら2枚分になります。

クリーム・軟膏の量のめやす

保湿剤にはローション、乳液、クリーム、オイル、軟膏などさまざまなタイプがあります。ワセリンのような油脂の多い軟膏は乾燥する冬には効果的ですが、夏はべたつきが気になるし、ローションは使いやすいけれど、保湿効果がものたりないと感じる時もあります。症状や目的、季節などに合わせて使い分けるといいでしょう。

また、保湿剤はあくまでも皮膚の乾燥を防ぎ、潤いを持たせるためのもので、皮膚が赤くなる紅斑(こうはん)や湿疹などの炎症を治療するものではありません。かゆみや赤みがあるならかかりつけのお医者さまを受診して外用薬を処方してもらいましょう。

軟膏の管理方法

冬の冷たくて乾いた空気により皮膚が乾燥してカサカサしたり、かゆみを感じたりすると大人でも気になりますね。赤ちゃんがからだを掻くようなそぶりを見せたり、わけもなくむずがることがあるなら、乾燥肌が原因かも知れません。赤ちゃんが冬を笑顔ですごすためにもスキンケアはしっかりとしてあげたいものです。今回紹介したスキンケアのコツを毎日のお世話に取り入れて、赤ちゃんを乾燥肌から守ってくださいね。

水野克己(みずの・かつみ)

昭和大学医学部 小児科学講座 小児科学部門 教授 医学博士。小児科専門医、新生児専門医、インフェクションコントロールドクター(ICD)、国際認定ラクテーション・コンサルタント(IBCLC)、公益社団法人日本小児科学会 理事、一般社団法人日本母乳保育学会 理事長。
2017年に未熟児を支援する一般社団法人 日本母乳バンク協会を設立し、全ての子どもたちの健康と幸せを見守る活動を続けている。

〈図表の出典元について〉
この記事に使用した全ての図表は、独立行政法人環境再生保全機構ERCA(エルカ)「知っておきたい乳児のスキンケア からだの洗い方、外用薬・保湿剤の塗り方実践法」(https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/00/archives_a-000.html)を加工して作成したものです。

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