【専門家監修】 赤ちゃんの足の成長を考えた“間違いない”プレシューズの選び方

【専門家監修】
赤ちゃんの足の成長を考えた
“間違いない”プレシューズの選び方

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靴選びはその人の歩き方や姿勢にまで影響を及ぼすと言われるほど重要なことで、それは歩き始めの赤ちゃんにとっても同じこと。ママ・パパからすれば赤ちゃんに“間違いのない靴”を選んであげたいですよね。

かのレオナルド・ダ・ヴィンチは、「人間の足は人間工学上の最高傑作であり、最高の芸術作品である」という言葉を残している通り、人間の赤ちゃんは生まれてたった1年で“人間工学上の最高傑作”を使い、立ち上がって歩き始めるわけです。ダ・ヴィンチをして“最高傑作”と言わしめた人間の足の動作を邪魔しない靴とはなんなのでしょうか。

そこで、“靴の専門家”でもあり、歩行を科学的な見地から研究している関西大学人間健康学部の河端隆志先生に2回に渡りインタビュー。第1回目は、生後〜1年くらいの赤ちゃんの足の発達と“たっち”をはじめたら履かせてあげたいプレシューズについてご紹介します。

 

無理に早く歩かせる必要はありません 基本は急がず自然のままに

無理に早く歩かせる必要はありません 基本は急がず自然のままに

生まれたばかりの赤ちゃんのかわいい足。産着(うぶぎ)の裾からのぞく小さな足を見て、ママとパパは愛おしさで胸がいっぱいになってしまいますね。生後3か月ごろにはふっくらと丸みをおびてくる赤ちゃんの足の形は、大人の足とはかなり違います。赤ちゃんの足はどんな発達・成長を遂げて、大地を踏みしめ、歩いたり、走ったりできるようになるのでしょうか。

関西大学人間健康学部の河端先生はこう言います。

「まず『骨の成長』についてのお話から始めましょう。あまり知られていないのですが、骨が育つということは、骨の端の方が伸びていくわけではありません。骨端よりも少し内側にある『骨端軟骨板(グロースプレート)』と呼ばれる骨のすき間のような軟骨組織に栄養素を取り込むことで、骨は大きくなって伸びていきます。もちろん赤ちゃんの足にもグロースプレートはたくさんあるのですが、この部分は負荷に弱いんですね。だから赤ちゃんの足に大きな負荷をかけると、変形してしまうこともあります。ママ・パパが赤ちゃんの成長を楽しみにするあまり、無理に立たせようとしたり、早く歩かせようとすると、足の骨の成長に悪い影響を及ぼす可能性もあるので、“たっち”や“あんよ”はどうか急がずのんびりと、あくまで自然にまかせてください」(河端先生)

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「うちの子は10か月で立ち上がった」とか「1歳の誕生日前に歩いた」と聞けば、同じぐらいの月齢でまだハイハイを卒業しない赤ちゃんがいる新米ママ・パパはちょっぴり焦ってしまうかもしれませんが、心配はいりません。成長には個人差があって当たり前ですし、ゆっくりじっくり成長していく方が、その後の成長によい結果を生む可能性もあるようです。

なお先生によると、赤ちゃんが上手に歩けるようになるためには、「ハイハイを十分にすることが不可欠」とのこと。ハイハイをしっかりすることで腹筋や背筋、腕の筋肉など上半身が鍛えられて、バランス感覚や反射神経が養われるといいます。

「歩くようになればハイハイすることはほとんどなくなるわけですから、いかにハイハイ期に上半身の筋力を鍛えられているかが重要なんです。事実、ハイハイの時期が長い子は、歩き方に安定感があって転びにくいんですよ」(河端先生)

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また、赤ちゃんの足が湾曲し、膝が外側に向いてO脚に見えるのは、骨盤と大腿骨の接続部分が未発達なため。小学校低学年の頃には、膝は正面を向き、踵(かかと)の骨と脛骨(すねの骨)がまっすぐにつながってきます。

「赤ちゃんや成長期の子どもの靴が重要なのは未発達だから。ちなみに骨の『グロースプレート』がなくなり、成長が止まるのは、一般的に15歳から18歳までの間。言ってみれば、そこが成長期の“出口”なんです。親は『子どもの成長の出口像』を知り、正しい2足歩行ができるように導いてあげてほしいと思います。骨が変形したまま固まると、骨格や体の動きにも影響してきますから」(河端先生)

たっぷりハイハイをした後、歩き始めるようになれば、今度は「裸足でたくさん歩かせてください」と河端先生。その理由について「踵と足の裏の役割」を挙げて説明してくださいました。

「人間の踵の骨は、他の動物に比べて大きくて発達していますが、それは、2本の足で全体重を支えるための抗重力構造になっているから。そして足の裏は、立っている時の人間の体で唯一、地面や床などに常に接しているので、いろいろな情報を収集するための感覚が発達しています。赤ちゃんは、足の裏から伝わる圧感覚(押し付けられる感触)に大脳が刺激されて平衡感覚を育んでいくので、よりダイレクトに圧感覚を得られるよう裸足で歩かせるのが望ましいですね」(河端先生)

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バランスをとりながら歩いたり、動いたりするときに必要な平衡感覚は、足裏の感覚と目で見る情報、内耳の感覚の3つが合わさってきちんと機能します。“たっち”を始めたばかりの赤ちゃんの足の裏は脂肪に包まれていて不安定ですが、少しずつ足の中指、薬指、小指で地面をつかんで歩くようになっていき、より安定して歩行できるようになります。

プレシューズを履いて“あんよ”の練習を

赤ちゃんが“たっち”を始める頃は、ほとんどの時間を屋内ですごしているでしょう。部屋で“たっち”の練習をする時は裸足が理想ですが、そのうちお外を歩くようになった時のために裸足感覚に近いプレシューズを履いて“あんよ”の練習をはじめるのもよさそうです。

プレシューズを履いて“あんよ”の練習を

「一般的にはつかまり立ちを始めたら、プレシューズを履かせてみるタイミングと言えます。でも、先程も申しましたが、裸足をたくさん経験させたい時期であることには変わりありません。それゆえに、わざわざ履かせる靴は、赤ちゃんの足の成長を正しくサポートするものでなくては意味がありません」(河端先生)

たしかにおっしゃるとおりです。ではプレシューズを選ぶ時に気をつけなければいけないのはどんなことでしょう。河端先生はポイントを絞りつつこう指摘します。

「まず見るべきは、赤ちゃんの足にいかにフィットするかということ。実際に履かせてみて、踵がぴったりしていて、足首と甲がちゃんと固定されるかをチェックしたいですね。また足指がのびのび動かせて、足指で地面をつかみながら歩く感覚がもてるように、つま先が足に合った形状になっている靴、つま先に適度な余裕がある靴がいいでしょう。足裏からの情報をたくさん感じるためには、ソール(靴底)部分は適度なすべり止め効果のある薄くてやわらかい素材が理想ですね。あとはシューズ自体が軽いこと」(河端先生)

プレシューズを選ぶ時に気をつけなければいけないこと

「赤ちゃんの靴について考える時に気をつけたいのは、赤ちゃんは大人のミニチュアではないということ」と河端先生。赤ちゃんの日常の行動は、すべて成長のためのトレーニングといっても過言ではありません。“あんよ”の練習を正しくアシストする機能を備えたプレシューズを選んであげたいですね。

続く第2部では、本格的な外歩きを始める赤ちゃんのための「ファーストシューズ」について、河端先生のアドバイスをいただきながら考えていきます。

 

【プレシューズ選びの“5か条”】

  1. 1踵がぴったりフィットし、甲の高さに合わせてベルトなどで調整できること
  2. 2足指がのびのび動かせるように、つま先部分が足に合った形状になっていること
  3. 3つま先に適度な余裕があること
  4. 4足指で地面をつかみながら歩けるよう足の裏に適度なすべり止めがある薄くてやわらかなソール
  5. 5靴自体が軽い

 

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【プロフィール】
河端隆志(かわばた・たかし)

関西大学人間健康学部人間健康学科 教授 医学博士。

体温調節及び運動能力に及ぼす循環血液量の生理学的意義に着目し、環境や運動ストレスに対する生体の適応能力とパフォーマンスの制限因子に関する研究に従事してきた。近年では、whole bodyでとらえた高齢者の健康支援(インターバル速歩)やアスリートのパフォーマンスと疲労(中枢性・末梢性)の研究を進めている。

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