そうした事故が起こるのは、赤ちゃんが“好奇心のかたまり”だから。目の前にあるものは、何でもつかんだり、ひっぱったり。ハイハイができるようになると、動くものに興味を持って動物を追いかけたりもします。そして自由に歩けるようになった時には、よりアクティブに…そんな元気な姿は、ママやパパにとっては、ほほえましいものですが、ペットには「脅威」であり、それが事故につながることが多いとか。水越先生によると、事故の要因として以下のようなことが考えられるそうです。
「飼い主に良くなついていて、おとなしい性格の犬や猫でも、好奇心いっぱいで近づいてくる赤ちゃんといつも一緒に生活するのは大変。ペットは言葉をしゃべれませんが、嫌なことをされたら、ちょっと避けるなどして『やめて』というサインを出します。大人はわかってやれますが、赤ちゃんはそんな“ボディランゲージ”を理解できません。しかも赤ちゃんは背が低いので、犬なんかとは目が合いやすい。そして赤ちゃんはじっと目を見つめてしまう。犬にとっては、じっと見られるということは威嚇されていることと同じ。加えて赤ちゃんは体をつかまれたり、しっぽや耳を引っ張ったりもする。そうするとペットは驚いて、場合によっては噛んだり、引っ掻いたりという反応をしてしまうんです」(水越先生)
赤ちゃんにとっては単なるじゃれあいでも、時として犬や猫を追い詰めてしまい、“反撃”をすることもよくあること。赤ちゃんや子どもの皮膚は柔らかいので、そうしたペットの反撃で、思わぬケガや事故につながってしまうこともあると水越先生は語ります。
(大人の)飼い主にとってどんなに聞き分けのよいペットだとしても、「ベビーシッター」にはなれないことは、しっかりと心に留めておいた方がよさそうです。
とは言え、ペットも家族の一員と考えているご家族も多いと思います。ペットも赤ちゃんも、みんなでハッピーに暮らすためには、どうしたらいいのでしょう。
「まず大人が絶対に目を離さないこと、赤ちゃんとペットを『ふたりっきり』にしないことが前提です。もし、大人が赤ちゃんから目を離す時には、ペットはケージやサークルなどの隔離した空間で、おとなしくすごせるように、しつけておく必要があります。ペットだけのスペースを作っておくと、ペットの餌やトイレを赤ちゃんが触るのを防ぐこともできます。ペットにとっても、家の中で落ち着ける場所があるのは大切なことですしね。また、ペットの爪を切ったら、必ずやすりをかけて先を丸めておくと、けがの防止に役立ちます」(水越先生)
ちなみに水越先生によると「相手への配慮とか思いやりがちゃんと身につく小学校の高学年ぐらいまでは、親がペットと子どもの間に“介入”して、いい関係を作ってあげて欲しい」と語ります。安全に、安心に赤ちゃんとペットが暮らすには、ママとパパがしっかり見守ることが重要なポイントのようです。