ビジネスでもプライベートでも連絡はEメールやSNSなど「デジタル」で済ませている方がほとんどだと思います。一方、大切な想いは手紙で、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
昨年8月末から9月上旬にかけて、ミキハウスはミキハウスベビークラブ会員を対象にアンケート調査「夫婦、子育て、そしてお手紙」を実施。8,365名から回答を得ました。同調査によると、気持ちを伝えたい時に手紙を書いたことがあると答えたママ、パパは3人に2人の割合でいました。意外と手紙でやり取りした経験のある夫婦は多いようです。
そこで今回のテーマは「パートナーへの手紙」。先輩ママ、パパの経験談とアンケート結果から、手紙が紡ぐ絆について考えていきます!
コロナ禍での里帰り出産。会えない寂しさを埋めてくれたのは手紙でした。

夫婦で交わした手紙について、まずお話を伺ったのは、生後5か月の娘さんの世話に忙しい毎日を送っている東京都在住の新米ママのAさんと夫のBさんです。昨年8月に里帰り出産をしたAさん。新型コロナウイルスの感染予防のために5月末には実家のある福島県に帰省しなくてはならず、そこで4か月間すごしたそうです。
「実家には両親がいて、身の回りの世話もしてくれたのでとても助かりました。そういう意味では出産に際しても心配はなかったのですが、夫と何か月も離れて暮らすのはやっぱり寂しかったです。あの状況でしたので立ち会い出産もできず、娘が生まれた瞬間の喜びを分かち合うことができなかったのも残念なことでした」(Aさん)
そんなAさんの心の拠り所になったのは、夫からもらった2通の手紙。
1通目はプロポーズの時、もう一通は産後2週間目に赤ちゃんに会いに来た時に手渡されたもので、家族の幸せな未来を願う彼の思いが綴られた手紙は、Aさんを元気づけてくれたそう。
「彼の手紙は私にとってお守りみたいなもの。寂しくて不安で、心が折れそうになった時に、それを手に取って眺めると、『大丈夫だよ、きっとうまくいくよ』と夫が語りかけてくれているようで心が落ち着きました」とAさんは当時を振り返ります。
実は夫のBさんもAさんからの手紙を大切にしています。
「出産のための帰省は僕が車で送っていったのですが、別れ際に手紙とクロッキー帳を渡されたんです。家に帰って読んだら、ひとり暮らしになる僕を気遣う彼女の優しい気持ちが伝わってきて…。クロッキー帳は料理が苦手な僕のために、彼女が作ってくれた手書きのレシピ集でした。その気持ちがうれしくてたまらず、友だちに料理を振る舞って、レシピを自慢しましたね。そして手紙。内容もうれしいですけど、見慣れた字に彼女の存在をすごく感じるんです。なので僕も寂しさを紛らすために、その手紙を部屋に飾っておきました」(Bさん)

こちらがお手紙とともに、奥様であるAさんがBさんのためにまとめた手書きのレシピ集
そしてこのお手紙のやりとりについて、「彼に手紙を書くことで、私自身が感じていた産前産後の不安を整理できたようにも思います」とAさん。さらにおふたりは「見返したい時にいつでも手元にある手紙」は心強かったと口を揃えます。
お仕事ではデジタル領域の業務も多いAさんは、「デジタルの簡便さ、正確さはよく分かっているけれど」と前置きした上で、「妊娠・出産、育児という経験にコロナが重なったこの1年は、アナログな感覚が心地よかったですね。ダイレクトに思いが伝わる手紙の温もりは、デジタルでは感じられないものだろうと思います」と語ります。
一文字一文字ていねいに書かれた手書きの文字からは、読み手に対する心配りも見えてきます。ありったけの思いを込めてやり取りした手紙は、かけがえのないふたりの思い出になっていることでしょう。