父親の“笑顔”が世界を変える!―――
ファザーリング・ジャパン 安藤哲也さん

ミキハウス編集部

イクボスを増やすには「会社が人事評価を変えること」

イクメンの数は着実に増えていますよね。でもまだ、休みがとれなかったり、定時に帰れなかったりする人もいます。女性活躍の問題もそうですが、本人だけじゃなく、その上司、つまりボスが変わらなければなかなか現実は厳しいですよね。

最近、ファザーリング・ジャパンでは、部下の子育て参加に理解のある上司や経営者を養成する「イクボスプロジェクト」を始めました。まだ古い世代が会社の上層部にいてボトルネックになっていますが、これから先、イクメン世代がどんどん会社の幹部になっていき、放っておいてもイクボスは増えていくでしょう。しかし今、女性活躍推進や少子化対策の流れのなかで、積極的にイクボスを増やすことが重要。そのためにいちばん大事なのは、人事評価の基準を変えることだと思います。

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今まで長時間働いて売り上げを上げてきた人を評価してきたけれど、これからは時間あたりの生産性を重視し、育児や介護などで時間制約のある社員もやめさせないで育成し、かつ、チーム力を上げて組織の結果を出しているボスのことを会社は評価することが大事です。

「有休や育休とらないのは同僚に迷惑がかかるから」という人もいて、まだまだ家族のために休みをとりづらいイクメン世代もいますが、僕が管理職のころはそういう人には「大丈夫、君がいなくったって仕事はまわるから。『代わりがいなくて休めない』と言えるのは人間国宝だけ」と言ってました(笑)。だって誰だって、風邪をひいて2、3日休んだりするわけでしょ? それでも会社は動いてる。でも、男性の多くはそこで自己を正当化してしまうんですね。「俺がいないとこの会社は回らない」って。

働くママたちと話をして思うのは、イクボスというのは、「子どもがいるなら帰っていいよ」と言ってくれる上司ではないということです。やさしいボスですが、帰っていいよと言った後で、その人が23時まで職場に残って仕事をすると、ママたちは引け目を感じる。さらに、自分が帰った後に重要な仕事・決定が進んでいるんじゃないか、プロジェクトから外されるんじゃないかと余計な心配をする人も出てきます。男性ならなおさらでしょう。でも、部署の人間全員が早く帰れば、そういう不安は消える。ボス自身が変えることで、そういう空気というか、環境をつくってあげないといけないんです。

あとママ社員にはやさしくても、男性には厳しい上司も大勢います。「男が育休? それでいいのか?」みたいなパタニティ(父性)・ハラスメントも横行しています。男性社員は育児のために休める雰囲気じゃないと。イクボス、まだまだ発展途上なんです。

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