父親の“笑顔”が世界を変える!―――
ファザーリング・ジャパン 安藤哲也さん

ミキハウス編集部

マネージメント力がつくから…「MBAよりPTAでしょ!」

今、ファザーリング・ジャパンの会員は400人いますが、現役で子どもの学校のPTA会長をやっている人が30人くらいいます。僕やほかの理事がPTA会長を経験して、「PTAはおもしろい!」と言ってまわった結果です。「MBA(経営学修士)よりPTAでしょ」って(笑)。PTAにいる多様なママたちをちゃんとマネージメントできたら、すばらしい経営能力がついて本業にも活きるはず。僕もPTA会長をやって「会社のほうが楽だな」と感じたくらいです。また、会社で社長になるのは難しいけど、PTA会長なら、「私、やります!」と手を挙げればたいていなれますから(笑)。

役員までやらずとも、夫婦共働きのパパには「保育園にどんどん行ったほうがいいよ」とアドバイスします。送り迎えに毎日行っているとパパ友も増えるし、ほかの子どもとも顔見知りになって、「絵本読んで~」なんて慕ってくるようになる。自分の子とは違ったかわいさを感じて読んであげたり、正月にこま回しがはやっているときは、「ちょっと貸してみろ」って昔とった何とかで“綱渡り”を見せてあげたりすると、子どもたちから「すっげ~」って言われて、すぐにヒーローですよ。

会社とは違う居場所というか、一人の個人としてイキイキとできる場所をもつことが男性にとっても大事。保育園はママが行くもんだと思っているのはもったいないと思います。


子どもに寄り添ってこそ父親は自分らしく「笑顔」になれる

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昔から言われている“子育て四句”というものがあります。「乳児は肌を離すな、幼児は手を離すな、学童は目を離すな、思春期は心を離すな」というもの。自分の子どもが中学生、高校生になって、まさにそうだなと実感しています。もう親が手をかけなくても、子どもはおなかが空いたら自分で冷蔵庫開けて何か食べられるけど、心を離しちゃうと糸が切れて飛んでいってしまう。だから、高校生の娘とはLINEでつながっていて、ちょっと元気がなかったら「どうしたの?」と聞いたり、「見てるし信じているから頑張ってみな。でもなんか判断に迷ったらお父さんに言いな」と、こちらからのメッセージは出しています。

イクメンという言葉が一般的になって、僕らのところに来るお父さんも「予習」してくるようになりました。プレパパセミナーをやっても、「そんなこと、知っていますよ」っていう感じの男性が多いんですが、「子育ての理想と現実は違うよ。そんなマニュアルどおりにはいかないよ」と伝えます。

メディアがつくるイクメン像に惑わされないで、ワークもライフもバランスをとって余力をもってやりましょう。あくせくやって、大変だ大変だとやっているとまわりが引くでしょう? 仕事も育児も笑顔でスマートにやるほうが絶対いい。楽しければ続けられますから。そして、最終的にはイクメンという言葉をなくしたいですね。

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【プロフィール】
安藤哲也(あんどう・てつや)

1962年東京生まれ。妻と高2の長女、中2の長男、小1の次男の5人家族。明治大学卒業後、出版社、書店、IT企業など9回の転職を経て、2006年にパパの育児支援を行うNPO法人「ファザーリング・ジャパン」を設立。2012年に立ち上げたNPO法人「タイガーマスク基金」の代表も務める。厚生労働省イクメンプロジェクト顧問。

NPO法人 ファザーリング・ジャパン
http://fathering.jp/

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