もし、上記のいずれかに該当するような状態を自覚したときは、本格的な産後うつにならないように、対策が必要です。では、どうしたらよいのでしょうか?
宗田先生は、「まずは、住んでいる地域の保健所へ相談に行くのが一番」といいます。「日本の場合、赤ちゃんを産んだ産婦人科に行っても、出産を終えたお母さんの心のケアまではしてくれません。小児科でも子どもの面倒はみてくれますが、お母さんの面倒まではみないのが通常です。産婦人科や小児科でお母さんが精神的不安定を訴えると、それは心療内科や精神科へ行ってくれと言われます。ですが、心療内科や精神科へ行くと、そこにはもっと重度の精神的疾患を抱える患者さんがたくさんいらっしゃるので、そういった患者さんと比べ症状が軽度の産後うつの場合、薬を処方されておしまいといった対応も多く、なかなか問題解決のための適切な処置を受けることができません。要は、産後のお母さんの精神的なケアをしてくれる機関がほとんどないのが現状なのです」(宗田先生)
現在、厚生労働省が支援する母子保健国民運動プロジェクトの「健やか親子21」の取り組みにより、各地域の保健所にはそのエリアのクリニックや病院についての情報が集約されています。たとえば、お母さんの精神状態まで気遣ってくれる先生が在籍する産婦人科や小児科の有無、産後うつに対応している病院の有無なども保健所に行けばわかります。住んでいる地域によって、それが婦人科なのか、心療内科になるのかなどは異なりますが、適切なケアを受けるためにどこの病院を訪ねたらよいかを知るためには、保健所を利用するのが有効です。