もうひとつ、生後4か月までの赤ちゃんのいる家庭を訪問してくれる制度があります。それが「乳児家庭全戸訪問事業」。いわゆる「こんにちは赤ちゃん事業(以下、こんにちは赤ちゃん)」です。自治体によって呼び名は違うものの、いずれも2007年度より始まった乳児のいる家庭のサポート事業のことです。
こちらは、希望者だけでなく乳児のいるすべての家庭が対象となります。目的は子育ての孤立化を防ぐこと。
育児不安は産後退院した直後から乳児期早期に向けて大きくなり、夜泣きのため睡眠不足が続いたり、授乳の量が適切かといった不安感などから、マタニティーブルーに陥りやすくなります。そんな時に保健師が訪問することで、健康状態の確認と同時に日常の不安を相談し精神的ケアをすることが目的です。
ママからさまざまな不安や悩みを聞き、子育て支援に関する必要な情報提供を行うとともに、支援が必要な家庭に対しては適切なサービス提供に結びつけてくれます。
訪問スタッフは、新生児訪問のように助産師や保健師のほか、地域の民生委員・児童委員や子育て経験者など。どの場合でも無料で受けられます。同じ地域に住む“子育てのプロ”や“頼れるご近所さん”と知り合いになることもでき、新生児訪問とは違う、メリットがありそうです。
「いろいろな人から見守られている安心感」が得られます
「新生児訪問」も「こんにちは赤ちゃん」も、訪問日時はあらかじめ知らせてくれ、その日程で都合が悪いときは調整してくれるので、心配はいりません。いずれも、時間は30分~1時間であることがほとんどで、「こんにちは赤ちゃん」のほうは、玄関先での面談やアンケートで終わる場合もあります。
自治体が派遣するスタッフとはいえ“知らない人”が自宅にやってくることに抵抗感のある方もいらっしゃるかと思います。たしかに産後で体力も回復しておらず、ご夫婦ともども忙しくしていて、家も片付いていない方も多くいらっしゃるでしょう。
でもご安心ください。お部屋が散らかっていても、メイクしていなくても、産後のママの大変さを訪問員は十分わかっています。もちろん、「私が嫌なの」というお気持ちもわかりますし、そもそも“他人”を自宅に入れること自体が好きではない方もいらっしゃると思います。
担当者は何かを評価するために訪問するわけではなく、ママと赤ちゃんに会って話をしたり、不安に思っていることを聞くために来てくれます。ママにとってもこれから安心して子育てができるように、、サポートする人がいると知るきっかけになるのではないでしょうか。子育ての悩みは自分だけで抱え込まなくてもいいと思えるよい機会にもなりますし、悩みを話すことで気持ちが楽になることもあります。一人じゃない、と思えるだけで、その後の子育てが前向きになれるかもしれません。
赤ちゃんとママが心身ともに健康でいられるよう、「新生児訪問」「こんにちは赤ちゃん」の制度をぜひ利用しましょう。