生後3か月の赤ちゃんを連れて、奥さまの留学先であるニューヨークへ家族3人で渡った小野俊樹さん。現在、1年間の育休取得中で、はるおくん(仮名)と一日の大半を過ごし、子どもの成長を肌で感じています。
アメリカという土地だったからこそ、やりやすかった男性の育休のお話、逆に日本が恵まれていると感じたこと、パパでも息抜きがしたくなったという体験談など、ざっくばらんにお話いただきました。
(前編はこちら https://baby.mikihouse.co.jp/information/post-5134.html)
アメリカに育休はない! 日米子育て事情の違い
小野さん:ニューヨークに来たときは、まだ首も座っていませんでしたが、大きなケガや病気をすることなく、元気に育っています。予防接種は日本で済ませたものはその旨、日本の小児科の先生に英文で書いていただいて、あとのものをこちらでこなしています。
春奈さん:5種混合とか、日本では聞いたことがないものもありますが、調べると日本脳炎以外は接種する時期は違っていても、トータルの種類は同じなのであまり心配しなくてよいことがわかりました。
小野さん:健診や予防接種以外で病院にかかったことはありませんが、医療費はアメリカのほうが高いです。あとは保育所の費用も高い。0歳児のフルタイムだと、1か月2,200ドル(26万円)が相場です。しかも、日本のほうが施設は清潔だし、先生方が一人ひとり子どもたちをみてくれます。
春奈さん:アメリカでは保育所に入所するためには、膨大なお金と手間をかけなくてはなりません。また、日本の保育所だと延長保育がありますが、アメリカは3時、4時に終わってしまうところが多く、延長保育があっても6時半が限界。その後に保育が必要ならば、ベビーシッターさんを探さなくてはなりません。
また、日本では気軽に利用できる自治体からの産後のサポートもアメリカにはありません。そういった点は、アメリカの子育て環境は日本よりも厳しいと思います。一方、週に2、3日でも通える保育所もあって、預け方、親の働き方の選択肢の幅は広いと感じますね。厳しい子育て環境の中で保育園、ナニー、ベビーシッター探しに奔走するアメリカのお父さん、お母さんたちを見ていると、本当にタフだなと思います。
――小野さんが育休中で子どもを育てているという話をすると、アメリカの人はどんな反応をしますか?
小野さん:「とてもいいね」といわれることが多いですね。でも、男性が育休をとるという驚きよりも、日本では子育てのために仕事を1年も休めるのかという、そこに対する反応です。アメリカって、OECD加盟34か国のなかで唯一、有給の育児休職に関する法律が、父親向けにも母親向けにもないんです。職場ごとに決まりのあるところはありますが、国としては育休という制度はないんですね。だから「夫婦で育てられる環境はいいね」といわれます。
昨年、FacebookのCEO(最高経営責任者)、マーク・ザッカーバーグが2か月の育休をとることが話題になりましたが、そういうことをアメリカ西海岸の企業がやりはじめているのは、そのほうが優秀な人材が集まるからだと思います。今までは会社で無料の食事がとれる「フリーミール」や待遇などで人は集まっていたかもしれませんが、もうそれだけではダメで、自分の時間をたくさん使えるとか、ライフスタイルに直結したところに訴えかける施策に、多くの人がメリットを感じる時代になっているのかもしれません。