パパが育休をとった! 主夫になった!
ニューヨークに行った!
――NTTドコモ小野さんの“はじめての150日”(後編)

ミキハウス編集部

育休パパだからこそ体験した子育てのイライラ 

――そんな小野さんでも、子育てにイライラしたこともあったとか。

小野さん:子どもはかわいいのですが、四六時中一緒にいるとイラッとすることもあって。まだ家事も、子どもの世話も手際がよくなかった10月くらいのことです。子どものペースに合わせているから、家事にとても時間がかかる上に、自分の時間もなかなかとれないでいました。子どもの寝かしつけもうまくいかないので、シャワーを浴びたいのに浴室にも行けない。トイレに行きたくても行けないということがあってイライラが募っていました。

そんなときに、子どもを妻に預けて、ニューヨークに駐在している方とランチに行きました。たった2時間くらいのことでしたが、仕事の話やアメリカの国内旅行の話などをして、完全に子育てから離れた時間をもちました。そしたら、帰り道ではもうはるおに会いたくて会いたくて。そのとき、子どもと離れてみるっていいことだなと思いました。

日本のお父さん方には、奥さまに子どもと離れる時間をプレゼントすることをおすすめしたいですね。

――アメリカで“パパ友”はできましたか?

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小野さん:同じアパートにちょうど同じくらいの子どもをもつアメリカ人家族が住んでいるので、そのお宅には夕食後にお邪魔して、子どもを遊ばせたり、話しをしたりしています。ほかには、ネットでニューヨークにいる主夫たちの団体を調べて遊びに行ったこともあります。公園や動物園に子連れで行くだけでなく、スポーツ観戦や飲み会、これからお父さんになる人のための講習会をやったりしている団体です。僕たちは、女子プロバスケットボールの試合を見にいくイベントに参加して、子連れ男性たちと話ができて、いい気分転換になりました。また参加したいなと思っています。

男性は育休を“数か月”は取得したほうがいい その理由は?

――1年間育休を取得する男性はまだまだ珍しいと思いますが、小野さんのように育休をとってみたいという男性がいたら、どうアドバイスしますか?

小野さん:どんどん取得したらいいといいたいですね。日本にいて1年休むのは難しくて、踏ん切りがつかないかもしれないけど“数か月”はやってみたほうがいいと思います。学ぶことが多いですから。

僕は入社して10年経ちますが、終電近くまで仕事をしていた時期もありました。長時間通勤が嫌になって、会社の近くに引越ししたこともあります。そういう働き方を始めると、なかなか生活リズムを変える機会がないですよね。そうした意味でも、長い社会人生活の中での1年を、子育てのために過ごすことがあってもいいのかなと思います。子どもが生まれてからの1年は本当に貴重で濃密な時間だということを、今、ものすごく実感しています。

ただ、「育休をとったから、あいつはダメになった」といわれないようにしなくてはいけないとも思っています。前例がないこういう働き方、休み方があることを僕が身をもって体験し、これから育休を取得するパパたちの参考になればという思いもあります。

育休取得期間を“数か月”といったのは、男性の育休期間でもっとも多い数日程度だと、家事や子どもの面倒を見るのに慣れた頃に育休が終わってしまい、あまり戦力になれないというのと、1か月くらいだと税金などの手続きが煩雑になるからです。

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日本で男性が育休をとることは、まだまだ珍しいことです。でも、「このままで良いのか!?」と議論の対象になることも多くなってきており、女性の活躍を推進することとあわせて理解が得られやすい状況になりつつあるのかもしれません。周囲に理解のある方が多かったのはありがたく思っているのですが、僕の場合も「お休みをいただきたい」といったら、概ねポジティブな反応で、勇気が必要だと思い込んでいたのは、自分だけだったのかなという気がします。

父親ひとりで子どもの面倒をみられるようになると、子育て中だからと我慢せずに、夫婦でお互いの趣味を楽しめたり、その他の楽しみを妻と分かち合えたりすることができます。それぞれの家庭で、思いがけないメリットが出てくるはずなので、いろいろな意見はあると思いますが、もっと男性の育休取得者が増えてほしいと思いますね。

今、育休をとった半年間を振り返ると、子どもの成長の早さに驚きます。とくに最初の数か月は見逃せない日々の連続で、産後の妻の体調も安定するまでは大変です。これらのことを実感した今、もし、今後二人目を授かったとしたら、今回よりは短い期間になるとは思いますが、再度育休を取得したいと考えています。これからパパになるという方には、ぜひわが子の成長を目の当たりにする楽しさ、子育てのおもしろさを味わってもらいたいです。

*   *   *
もともと育休をとるつもりはなかった小野さんが「かわいい子どもと一緒にいたい」という思いが強くなり、1年間の育休をとったというお話。これからパパになる男性の背中をぐっと後押してくれますね! 子どもにとっていちばん身近なパパとママが一緒になってチームのように子育てをする。このことは、赤ちゃんの心身の成長にとてもよい影響をもたらすでしょう。「子育ては大変だけれど、おもしろい」――。小野さんのこの素直な感想に、多くの男性が共感できる日が早く来てほしいですね。

【関連リンク】
小野俊樹さんのブログ『Appreciation of Life(人生をフルコースで深く味わう日)』
https://medium.com/appreciation-of-life

 

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