育児休業制度を利用して仕事を休み、生まれたばかりのわが子を育てたい――。そう思う男性は増えているようです。しかし、厚生労働省が2015年8月に公表した2014年度雇用均等基本調査によると、育児休業取得者の割合は女性86.6%に対して男性は2.3%。この数字には1日だけ育休をとった人も含まれるので、育児参加というよりは、出産したパートナーをサポートする意味で取得した男性も多くカウントされています。
そんな日本の子育て事情のなか、2015年8月1日から1年間の育休を取得した男性がいます。しかも、奥さまが海外留学することになり、それについていく形で渡米。はじめての子育て、はじめての主夫生活、はじめての海外生活を一度に始めることとなりました。
それが、NTTドコモを育児休業中の小野俊樹(35歳)さん。ニューヨークのご自宅で、8か月になるはるおくん(仮名)との生活について、奥さまの春奈さんも交えてお話をうかがいました。
子どもが生まれるという実感がわいてはじめて、育休をとることを考えはじめた
――はじめての子育てが“いきなり海外”ということになった小野さんですが、もともと「育休をとる」という考えは、小野さんのなかにはあったのでしょうか。
小野さん:子どもを授かる前から妻は留学する予定だったのですが、「育休をとる」ことをはじめて意識したのは、妻の留学が正式に決定したことがきっかけですね。妻の妊娠が分かったときは、まだ子ども持つ実感がなく、夫婦の会話の中で、私が育休を取得してアメリカに帯同することを一度断っています。今思えば、そのときは漠然とした不安が大きかった気がします。
その後、妻の妊婦検診についていき、エコーでわが子を見たり、妻が別の検診でもらってきたエコー写真の顔つきが自分たちに似ていたり、妻のお腹が動くのを見たりしているうちに、子どもが生まれるという実感が徐々に湧いてきました。その頃からだんだん「子どもがかわいい」と思う気持ちが強くなっていきました。
同時に、漠然としていた不安を「キャリアに対する不安」「お金に対する不安」「周囲に対する申し訳なさ」と言葉にしていきました。それぞれついて一つひとつ考えているうちに、漠然とした不安から、かわいい子どもと一緒にいるために“必要なもの”“必要なコスト”と捉えられるようになりました。“かわいいわが子と一緒にいたい”という気持ちと“必要なもの”“必要なコスト”を比べると、わが子と一緒にいたいという気持ちが勝り、育児休業を取ってみたいとはじめてそこで思ったんです。