- 体内に異物を入れることを防ぐためにできる炎症については、ある程度仕方のないことにも思えますが、日常生活で気をつけておく点は何でしょうか?
炎症に関していえば、体内に「炎症促進物質」ができると、かゆみ、痛み、咳などの症状が悪化してしまいます。この物質は、油と深い関係にあります。空気に長く触れていると油は酸化し、劣化します。油が酸素によって劣化(酸化)すると、「過酸化脂質」という物質が作られ、免疫低下や様々な疾病のリスク因子になります。
過酸化脂質を取り込んでしまう可能性が高いのは、やはり揚げ物です。特に時間がたち、色が変化してしまっている揚げ物は要注意。お惣菜屋さんの揚げ物やフライドポテトなどが代表的なところでしょうか。外で天丼が食べたいと思ったら、開店時間に行って食べましょう。家で揚げる場合も同様で、極力新しい油で揚げた白い衣の天ぷらを食べるようにし、時間がたって茶色く変化した衣のものは控えるように。油は酸化の影響を受けやすいため、ピザやドリアなどの「高脂肪食」を好む人も炎症が進みやすいと言われています。
油が原因でできた炎症を鎮めてくれるのも、実は油なんですよ。ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)といわれる必須脂肪酸で、「オメガ3」とも呼ばれているものです。たとえば、マグロやカツオなどのお刺身はDHAやEPAを含んでいるのでおすすめです。ただし、オメガ3は酸化しやすいため、加熱料理には適しません。オメガ3を豊富に含む食材は生で、亜麻仁油やシソ油などのオメガ3を含む油はドレッシングでとるのがいいでしょう。
また、私たちって噛むことで若返ることができるんですよ。噛めば、いっぱい唾液が出て、胃液も出ます。さらに、唾液の中に含まれている「ペクチン」は、アンチエイジングの成分だということがわかってきています。
こうやって見てみると、食事とアンチエイジングは密接な関係があることがよくわかりますね。
食事の内容や咀嚼を通して、食事で若返ることもできるし、逆に、老けることもできるんですよね。今日お話したことは、妊活をしているカップルにとっても大切なことですが、家族がこれから何十年も健康でいられるような「食卓の知恵」でもあると思います。これからはもっと食事の時間を大切にし、ぜひ有効に活用してみてください。
【プロフィール】
細川モモ(ほそかわ・もも)
予防医療コンサルタント、栄養コンサルタント
2011~2013 ミス・ユニバ−ス・ジャパン オフィシャルトレーナー
両親の末期がん闘病がきっかけで予防医療の道へ進み、欧米の先進的な取り組みや栄養学について7年以上現地で学ぶ。東京とニューヨークに支部を構える予防医療プロジェクト「ラブテリ 東京&NY」を発足、主宰者に。国内外の医療専門家や大学・企業とともに研究・論文発表等を行う。2012年には世界規模の「卵巣年齢研究」に着手し、NHKテレビで取り上げられる。著書『タニタとつくる美人の習慣』(講談社)、『BABY BOOK』(ラブテリ)。