「子どもが何か始めたら、何を面白がっているのか、何をやりたがっているのかを見極めてあげられるといいですね。そして、やりたがることを可能な限りやらせてあげる。アクティブ・ラーニングは、その子の意欲、自己肯定感があってこそ成り立つ学び方なんです」と宮里先生はいいます。
つまり記事冒頭に宮里先生が仰った「その子をまるごと受け止めること」という小さな子どもを育てる上での基本姿勢がそのままアクティブ・ラーニングにつながるというのです。
続いて、宮里先生はこちらの自作バッグをご紹介くださいました。
宮里:こちらのバッグは粕川さんが、0歳用に作ったものです。取っ手をひとつしかつけていません。
粕川:通常、バックの持ち手はふたつあります。大きな子たちであれば、ふたつの取っ手を揃えて持つことは出来ますが、0歳児ではそれが結構難しい。また、取っ手がふたつあると物を入れるのも難しいんですね。0歳児でも扱いやすくするために、このようにひとつにしました。
宮里:これなら歩きはじめたころの子どもたちでも、上手にものを入れて持つことができる。今、その子どもがやりたいのは、バッグにモノを入れて持つということ。それを可能にするための工夫をしてあげることで、子どもが達成感や満足感が得られるなら、そうしてあげたいですよね。子どもの意欲や自己肯定感に繋がりますよ。
粕川:子どもはそれぞれ、興味のあることや遊び方が違います。たとえばこちらのスロープでクルマを走らせるおもちゃ。
————木でできた小さなクルマが、上から下にガタンゴトンと落ちていくものですね。子どもってこういうの好きですよね。
粕川:ええ。そうやってある意味「普通」に楽しむ子がいるかとおもうと、同じおもちゃでも、実は遊び方っていろいろあって、クルマが台から「カタン」と落ちるのが面白くて、そればかりやっている子もいます。ほらこうやって(と言って、クルマを指で押して台から落とす)。
この「カタン」にも発見や喜びがあるんです。ですから、子どもが何か見つけて「オー」と喜んだら、その顔をキャッチして、私も一緒に「オー」と言えるようにしています。でも子どもが一生懸命やっているところに「あら、面白いね」なんて声をかけると、集中が途切れてしまうような時もあるから、そこの加減はいつも考えています。
宮里:この園の先生たちは、子どもが思いがけない遊び方をしたとしても「違うよ。これはこうして遊ぶのよ」なんて言いません。意図を超えたり、違う使い方をしてもいいんです。もしかしたら、そんなところから、学習への興味が生まれるかも知れない。お父さん、お母さんも「いま時間ないんだけど、困るな」と思っても、10分でいいから子どもに付き合ってみようと思う気持ちを持つと、子どもが見ている世界が見えてくるかもしれません。