東京に戻ってからも、横峰さんの子育ては日々戦いの連続でした。横峰さんのインスタには楽しそうに奮闘する様子が描かれていますが、実際には「辛いことの方が3倍くらい多いですよ(笑)」と話します。
「2歳になるまで預けることができなかったので、一日中息子と二人きりの密室育児状態でしたからね。ストレスが溜まって、イライラとしてしまうことだらけでしたけれど、インスタには数少ない楽しかったことやうれしかったことを敢えて残すようにしたんです。辛かったことは、記憶に残りがちで、それは簡単に自分の気持ちを沈めてしまいますよね。でも、こうして楽しいことを記録すれば、ふと見返した時に『大変だけど、こんなうれしいこともあったなぁ』と思えるようになる。よくインスタをご覧になっている方からは『横峰さんみたいにポジティブに育児ができるようになりたいです』と言われるのですが、私ほど心配性で神経質なお母さんもいないと思うけどな……と思っちゃいます(笑)」
「私は子育てをする上で、いつも『子どもは私とは違う人間なんだ』と思うようにしているんです。以前、息子がなぜかレモンをずっと欲しがっている時期があったんですが、『これは酸っぱいから食べない方がいいよ』と何度となく教えても、毎回レモンを食べたがって、仕方なく食べさせると酸っぱくてギャンギャン泣いちゃう。その時、頭ごなしに『ダメ』と言ってレモンを与えなければいいだけの話なのですが、『もしかしたらこの子には、この子なりの考えがあっての行動なのかもしれない……』と思って、苦労しながらもレモンをあげ続けました。すると、ある日を境に『いらない』と言うようになったんです。きっと息子なりに、『もしかすると酸っぱくないレモンもあるかもしれない』と実験や研究をしていたのかもしれません。けれど、やっぱりレモンは酸っぱいということに納得がいったんでしょうね。その時は息子の成長にちょっとだけ感動しちゃいました。
先ほど、私はとんでもない心配性で神経質、という話をしましたが、この考え方で私はかなり気が楽になりましたし、子どもの成長を目の当たりできるようになりましたね。それに、インスタに描くネタが増えました(笑)」
今でも日々の孤軍奮闘ぶりをインスタに投稿し続けている横峰さんですが、実はお腹の中には二人目の赤ちゃんがいます。一度出産・子育てを経験していることもあり以前に比べて気が楽という横峰さんですが、次の赤ちゃんは女の子ということもあって、「また新たな悩みも生まれそうです」と苦笑気味にお話されます。
「辛いこともありますが、子育て中の楽しいことやうれしいことってふいにやってくるお母さんへのご褒美だと思うんです。最近では私がお腹を痛がっていると、息子が寄ってきてほっぺにチューをしてくれるんですけれど、どんなに体がきつくても、その一瞬でつらさは消えてしまいます。それにインスタに投稿すれば、そんな幸せの瞬間や貴重な癒しタイムを何度も見返せますもんね。子育ては大変だからこそ、楽しかった思い出を意識的にたくさん集めること。それが、想定外の事態に弱くて、心配性な私が見つけた子育てのヒントです」
子育てには悩みや辛いことはつきものです。私たちはそれらについ目が行きがちですが、実はみなさんの日々の子育ての中にも「笑いの種」はいっぱい転がっているはず。まずは、今日ちょっとだけうれしかったことを、ひと言メモしてみるだけで、楽しい子育て生活はスタートするかもしれませんね。
【プロフィール】
横峰 沙弥香
SAYAKA YOKOMINE
イラストレーター
2015年の出産を機に、育児記録を絵日記にし始めインスタグラムに投稿。瞬く間に人気インスタグラマーと呼ばれるように。日常の何気ない子育ての楽しさや笑えるエピソード、そして共感を生む母親としてのストレスまでをイラストで表現。ママのみならず、多くの女性やパパを惹きつけています。著作「まめ日記」「まめ日和」全国の書店で発売中。インスタグラム フォロワー数:320千人(※フォロワー数は2017年7月現在)
≪横峰さんインスタグラムはこちらから≫
https://www.instagram.com/sayakayokomine/