妊婦さんや赤ちゃんのための防災(前編) いざという時の備えは万全ですか?

妊婦さんや赤ちゃんのための防災(前編)
いざという時の備えは万全ですか?

妊娠・出産インフォ

東日本大震災から早7年。被災地のみならず、日本中があの震災について思いをはせる3月11日が今年もやってきます。

あのような大地震、さらに大津波に限らず、日本では大雨、風雪などあらゆる自然災害が、毎年のように各地で発生しています。いつ自分の身に降りかかるか分からない自然災害から身を守るために、常日頃から防災意識は高めておきたいものです。

そこでミキハウス「出産準備サイト」では、妊婦さんや小さな赤ちゃんがいるママ・パパのための防災に関して前後編でまとめます。

前編では東京都総務局総合防災部防災管理課でお話を伺い、過去の災害に学んだ最新の「防災行動」について紹介。後編は、「被災してしまった時にママとパパができること」について、防災についての啓蒙活動を全国的に展開し、避難生活の経験などをママたちに伝えている「防災ママカフェ」のかもんまゆ氏のお話をもとに、妊婦さんや赤ちゃんがいるママ・パパが、被災後の生活を少しでも暮らしやすいものにするための工夫などを取りあげていきます。

経験したことがないからこそ、知識として理解しておくことはいざというときに大きな助けになるはずです。環境の変化で体調をくずしやすい妊婦さんや赤ちゃんを守るために、防災について考えておきたいものですね。

 

日常生活のちょっとした工夫が防災につながります

東京都は3月1日に『東京くらし防災 私の「いつも」がいのちを救う。』という冊子の配布を都内各所で始めました。こちらの冊子は、毎日の行動や習慣にちょっとした工夫や発想を加えるだけで「防災」は暮らしの中で始まるものとして、特に女性の視点に立ち編集されたものだそうです。そこで都総務局総合防災部防災管理課の田中紀充さんに、冊子を制作した経緯などを伺いました。

01

「東京都は2年前にも『東京防災』という冊子を作り、都内全戸に配布しました。日ごろからの防災への意識の醸成やいざという時の対応法をまとめたもので、実際に役立つと全国の方々から評価していただきました。そこで今回は、防災は特別な取り組みではなく、暮らしの中ですぐに実行できることをみなさんにもっと知っていただこうと、女性の専門家の方々による女性目線を生かした身近できめ細かな防災についての知見を集め、紹介することになりました」(田中さん)

『東京くらしの防災』の冒頭には、「いますぐできる15のこと」という項目があります。日常的な行動の中で、少しだけ防災を意識することで、いざという時に役立つというものばかりです。妊婦さんや小さな赤ちゃんのいるご家庭に限らず、心がけておきたいことなので、ぜひ、ご家族やご友人にご紹介してみてくださいね。

《今すぐできる15のこと》 (「東京くらし防災」より)

01外出先では非常口を確認
もしもの時に身を守れそうな場所や階段、広い道路など避難ルートをチェックします。

02カーテンは閉めて寝る
カーテンを閉めると割れたガラスが飛び散るのを抑える効果があります。

03食器の重ね方を変えてみる
食器は高く積み上げず、下から「中→大→小」の大きさ順に重ねれば揺れに強い安定した置き方になります。

04包丁は使ったらすぐしまう
包丁や重い鍋などの調理器具は揺れで落ちたり飛んできたりしたらケガのもと。使い終わったらすぐにしまう習慣を。

05寝転んで危険を探してみる
部屋の中のインテリアが、揺れで倒れたり、落ちてくることもあります。危ないところがないか、部屋を見渡してみましょう。

06日用品は多めに買い置きする
大きな災害の後は、流通がストップしてお店に商品が並ばないことも。もしもの時に困らないように自分に必要なものはストックしておきましょう。

07行けるときにトイレは済ませておく
発災直後はトイレに行きにくくなることもあります。普段からこまめにトイレを済ませる習慣を身につけましょう。

08生理用品はもう一周期分かっておく
被災時はストレスで生理不順になることもあります。少なくとももう一周分の備えがあると安心です。

09災害時の集合場所を決めておく
災害用伝言ダイヤルやSNSなどの連絡手段を話し合っておくことはもちろん、自宅以外での待ち合わせの約束は、「○○小学校の正門前で午前9時に」など具体的に決めておけば、会える確率が高まります。

10公衆電話の使い方を子どもに教えておく
災害時の連絡手段の一つとして公衆電話があります。子どもに公衆電話の使い方を教え、保護者の電話番号を教えて小銭も持たせておくと安心です。

11地域の行事に参加してみる
ご近所さんと日ごろから顔見知りになっておきましょう。挨拶を心がけて、地域のお祭りやイベントなどにも参加すると近くに頼れる知人ができますよ。

12災害時にペットの預け先を探しておく
できる限りペットと一緒に避難するのが望ましいですが、受け入れが難しい避難所もあります。避難所や自宅以外の預け先があると、ペットのストレスも軽減されるようです。

13赤ちゃんとの外出時に使うママバッグは使った分だけ足しておく
ママバッグはもしもの時のも使えるように、使った分をすぐに補充します。持ち出しやすい場所に置くようにすると慌てませんね。

14チョコレートやキャラメルをカバンに入れておく
チョコレートやキャラメルなどのちょっとした食べ物や水、地図をママのバッグなどに入れておくと、万が一の時に役に立ちます。

15「東京くらし防災」を読んでみる
日々の暮らしをちょっと見直す感覚で、毎日少しずつ実践できる「防災」のヒントが満載。自分のペースで備えましょう。

※東京都以外の方でも「東京くらし防災アプリ」
http://www.bousai.metro.tokyo.jp/smart/1005744/index.html)をダウンロードして読むことができます。

いざという時に少しでも落ち着いて行動できるように、まずはこの「15のこと」の中から、気軽にできそうなことを始めてみませんか。

 

いつものママバッグがいざという時の“防災袋”にもなる

2

防災の基本といえば防災袋。ただ防災袋を常備しているけど、気が付いたら袋の中の缶詰やペットボトルの賞味期限がすぎていたり、電池が切れていたりしていることはありませんか? いつ襲ってくるかわからない自然災害に備えて中身を頻繁に入れ替えるというのはなかなかできることではありませんし、妊婦さんや小さな赤ちゃんがいるご家庭ではなおのこと。そこで『東京くらし防災』では、“なくなる前にちょっと多めに買う。それだけで備えになる”という考え方を提唱しています。

「これは日常備蓄と呼ばれるもので、食品や飲料、ラップやポリ袋などの生活用品、トイレットペーパーや石鹸などの衛生用品など、自分の生活に必要なものを多めに買い置きして、古い順に使っていくというやり方です。これなら無駄が出ないし、お気に入りを切らすことがありませんから」(田中さん)

赤ちゃんやママ・パパが食物アレルギーなどの場合でも、自分で買いためたものなら心配はいりません。この冬の雪害では、交通機関の乱れにより流通がストップしてしまった商品もありました。そんな時のためにも、少し多めに備えておくと安心です。

もちろん災害時の緊急持ち出し品(※参照)を用意しておくのも大切な事ですが、赤ちゃんのためにはわざわざ非常持ち出し袋を用意しなくても、お出かけ用のママバッグをそのまま赤ちゃんの非常袋として使えます。使った分をすぐに補充して、持ち出しやすい場所に置いておくというだけの防災です。これだけでも1~2日はすごせるので、いつものママバッグに、非常用のベビーフードやミルク、紙おむつなどを多めに備えておくのも忘れないでくださいね。

3

クリックで大きく表示されます

また妊婦さんは、外出時、すぐ家に帰れなくなった場合を想定しておくことが大切だそうです。

「『東京くらし防災』にも書かれていますが、マタニティマークや母子健康手帳、処方されている場合はおなかの張り止めの薬なども携帯してください」(田中さん)

妊婦さんや赤ちゃんの母子健康手帳は、かかりつけ医でなくても医療機関でそれまでの経過などを正確に把握することができますから、全部持ち歩くのが大変な場合は、記入のあるページだけコピーするか、母子健康手帳用のアプリなどを使ってスマートフォンにデータを保存しておく方法もあります。

スマートフォンや携帯電話は、SNSアプリで家族と連絡を取り合ったりするだけではなく、アプリを入れておくとラジオ放送を聞くこともできるし、災害情報や安否情報、避難施設の情報をネットで入手したり、懐中電灯のように周囲を照らすこともできるなど、災害の時には役に立つツールです。ただし、充電器がなければ使い続けることはできないので、手回しの発電機やモバイルバッテリーなども一緒に保管しておきたいものです。

 

住んでいる地域をよく知り、顔見知りを作りましょう

妊娠したら、市区町村に妊娠の届出をしましょう。災害時に保護が必要な妊婦さんや赤ちゃんの所在を市区町村に伝えておくことは安心につながります。

また、住んでいる地域でどんな自然災害が想定されているか知り、市区町村が配布している防災についての印刷物などで避難場所や避難経路を確認します。

家の中も大きな揺れや強い風などで物が落ちたり、ガラスが割れたりしないように家具の配置を工夫し、転倒防止金具などを使ってできるだけ安全な環境を保ちましょう。最寄りの避難場所まで実際に歩いてみて、抱っこひもで赤ちゃんを抱いたママ・パパや妊婦さんでも歩きやすい道を確認しておくのも大切な事です。

災害が起きた時、家族が一緒にいるとは限りません。お互いの安否を確認する手段、徒歩で帰宅する時はどの道を使うのかなど、あらかじめ決めておくのもおすすめです。

また近所の方々とコミュニケーションを大事に取っておくことも大切なこと。

「日ごろからイベントやお祭りなど行事に参加して、地域の顔見知りができていれば、万が一の時安心です。家族だけではなく、友だちやご近所さんとも、付き合い方ひとつでいざというとき、助け合える仲間になれますから」(田中さん)

妊娠や子育ては、ママ・パパに最高の幸せをもたらしてくれますが、それと同時に、守らなくてはいけないわが子の命の大切さを実感する時でもあります。命を守るために、いつ必要になるかわからなくても、備えとしてやっておかなければならないことをしっかりと実行したいものですね。

後編の「被災してしまったら」では、経験者の声を交えながら、赤ちゃんとのいつもの生活を取り戻すために、ママ・パパができること、すべきことについて考えたいと思います。

5

クリックで大きく表示されます

 

《参考資料》
「東京くらし防災 わたしの『いつも』がいのちを救う。」2018年3月 編集・発行/東京都総務局総合防災部防災管理課

「乳幼児と保護者、妊産婦のための防災ハンドブック」平成26年3月 日本子ども家庭総合研究所(http://www.boshiaiikukai.jp/img/research/bousaihandbook.pdf

妊娠・出産インフォ トップに戻る