《絵本特集 第3弾》
書店員さんが選ぶ「今、子どもに本当に読んであげたい絵本」

2017.10.19

ミキハウス編集部

絵本の読み聞かせに関する研究者や“読み聞かせのプロ”に訊ねた本企画。読み聞かせが子どもの成長を促し、親子のコミュニケーションをより深いものにすることを学びましたが、最終回となる今回は、多くの本を知り尽くした書店員さんに取材。“本のプロ”とも言えるみなさんに、今子どもに読み聞かせしたい絵本について伺いました!

今回お話を伺うのはタイプの違う3人の書店員のみなさん。いずれも本が大好きで、本のことをよく知る“本のプロ”の方々です。ご自身のお子さんに実際に読み聞かせをしている本を紹介してくれる方。ご自身の幼少時にお母さまから読み聞かせしてもらった名作を紹介してくれる方。そして「定番の名作は紹介されていると思うから、面白いものを」と変わり種ながらも、読み応えのある作品を紹介してくれる方。三者三様の意見が集まったので、ぜひ参考にしてくださいね。

 

まず、一人目に紹介してくれる書店員さんは、八重洲ブックセンター京急百貨店上大岡店の平井真実さんです。

《プロフィール》

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八重洲ブックセンター京急百貨店上大岡店 平井真実(ひらい まみ)さん

幼い頃から読書家で、小学校低学年から『ドリトル先生ものがたり』(岩波書店)シリーズなど、文字が多めの児童書に親しんでいた平井さん。その背景には、お母さまによる絵本の読み聞かせ体験があるそう。お母さまは、近所の図書館で絵本や紙芝居を借りてきて、度々読み聞かせてくれていたと言います。読書家として育った平井さんですが、そんな彼女にとって思い出深い絵本とは?

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「物心ついてから覚えている絵本は、圧倒的に『ねないこ だれだ』(福音館書店 せなけいこ 作)ですね。夜中はおばけの時間だから、子どもは早く寝なさいという内容ですが、結末が本当に怖くって。最初に読んでもらったときに、布団をかぶって眠った覚えがあります。子どもの心に深く入っていく作品だと思いますが、私は怖いだけでなく、見えない世界へのイマジネーションを広げてくれるものだと感じました。その後、成長してフィクションを読むようになる良いきっかけになったと思います」(平井さん)

子どもにとって少々怖い内容でも、パパとママが優しく読みあげてくれるのであれば印象はまた違ってくるのかもしれません。実際、平井さんはこうした“インパクトのある本”が良い読書体験となり得たと振り返ります。

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そしてもう一冊、親子で一緒に読むのにオススメの絵本も教えてくださいました。
「私が大人になってから知ったもので『バムとケロ』(文渓堂 島田ゆか 作)という絵本があります。犬のバムとかえるのケロの2匹が、おうちでくつろいだり、お出かけしたりするお話なのですが、絵が細かく書き込まれていて、見飽きることがありません。主人公たちの他にも、“おじぎちゃん”という三本耳の不思議なうさぎなどのキャラクターも絵の中に隠れているのもポイント。本編と並行して絵だけで進行するおじぎちゃんのストーリーを追ったり、子どもの方が先におじぎちゃんを見つけたりと楽しさ色々で、親子でとても盛りあがります」(平井さん)

シリーズ第1作『バムとケロのにちようび』の初版は1994年ですが、現在どこの書店に行っても置かれていることの多い大人気作なのだとか。このように一冊が長く愛される絵本の世界。

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店頭でも、初版から50年が経った『いない いない ばあ』(童心社 松谷みよ子 作/瀬川康男 絵)が根強く支持されていると平井さん。

あらためて読み返してみると、最後のページに登場する赤ちゃんが、男の子とも女の子ともみえて、読み聞かせをする子どもの性別に合わせるような配慮を感じるなど、発見が多いと話してくれました。

(八重洲ブックセンターHP: http://www.yaesu-book.co.jp/

 

次のページ 2人目にご紹介いただくのは、 芳林堂書店東長崎店の飯田和之さんです。

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