《絵本特集 第1弾》
東大の研究者に聞いた「読み聞かせ」、ホントの話

2017.09.21

ミキハウス編集部

親が子どもに本を読んであげる「読み聞かせ」。特に、幼少期においては絵本の読み聞かせについて様々な心理学的研究が行われ、その効果・効能が報告されています。一般的にも、幼少期からの読み聞かせ習慣について重要だと感じられている方は多いと思いますが、具体的にどういう効果があるのかは、そこまでご存知ないのではないでしょうか。

そこで今回、出産準備サイトでは「読み聞かせ特集」を3回に渡ってお送りいたします。まず第1回目は読み聞かせについて研究をされている先生に、子どもの創造力を伸ばす絵本の読み方、さらに年齢別のおすすめ絵本などをお聞きしました。

 

まずは“読み聞かせ”の効能について研究者の方にお聞きしました。

今回、お話を伺うのは東京大学・発達保育実践政策学センターの野澤祥子先生です。野澤先生は発達心理学と保育学をご専門に、乳幼児期の子どもたちの発達や、それを支える保護者の援助や保育環境について研究されています。

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幼児教育の世界で、絵本の読み聞かせは「子どもたちの想像力や言葉に対する感覚を豊かに育むものとして捉えられています」と語る野澤先生。

なぜ、読み聞かせは言葉の発達を促す役割を果たすのでしょうか。先生は「共同注意」という言葉を使って、こう説明してくれました。

「絵本というある種、限られた世界の中で読み聞かせをしていると、親と子で同じものを見ることになります。たとえば子どもが絵本の中のある箇所を指差したとします。それに対して、親が『これは○○だね』といったやり取りが生じますよね。こうした行為は『共同注意』といいますが、絵本の読み聞かせでは、こうしたやり取り(認識や気持ちの共有)を通じて言葉を学びます。さらに世界を把握する助けになると考えられます。」

野澤先生は以前、1歳前から3歳ぐらいまでの子どもたちの読み聞かせについて調査を実施されました。年齢に応じて反応は変わっていくそうですが、1歳であっても絵本の中で自分の知っているものを指差すという行動がみられるそうです。

たとえば、お話に長靴が出てきたときに、ある子どもが『私の長靴ここにあるよ!』と自分の長靴を指差す場面がみられました。こうして、子どもたちは絵本の世界と自分の周囲とをつなぎながら、世界への認識をどんどん広げていくのです。また読み聞かせは、親と子のコミュニケーションツールという意味でも重要な役割を果たします。絵本を介して同じ経験を共有することで、コミュニケーションの濃度が高まるのです」

絵本の読み聞かせにとって大切なこと。絵本の内容や読んだ冊数に目が行きがちですが、その行為を通じて、親と子で経験や気持ちを共有することも非常に大切なことのようです。

次のページ デジタルデバイスによる読み聞かせについても聞いてみました

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