《絵本特集 第1弾》
東大の研究者に聞いた「読み聞かせ」、ホントの話

2017.09.21

ミキハウス編集部

【年齢別】 絵本の読み聞かせポイント

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絵本の読み聞かせが、言語能力をはじめとした子どもの成長や親子のコミュニケーションに大きく貢献することがよく分かりましたが、最後に子どもの年齢に応じて、絵本の読み聞かせのアドバイスや注意すべきポイントを野澤先生に教えていただきました。

■〜1歳 【ママとパパが読みたい絵本でOK】

「自治体によっては生後4ヶ月頃から、『ブックスタート』という健診などの際に絵本を配布する取り組みをしているところがあります。ただ、1歳までの時期は絵本というより“モノ”として認識している部分も大きいです。ですから、パパ・ママがが読み聞かせしていて心地いい絵本を選ぶのはいかがでしょうか。乳幼児にとっては両親の声がけ自体に安心するものですから。それからこの時期の赤ちゃんは、絵本を口に入れようとする子もたくさんいますので、くれぐれも誤飲には注意しましょう」

■1〜2歳 【覚えやすい言葉が羅列された本を】

「1歳後半頃から『語彙爆発』といって、言葉のボキャブラリーが一気に増える時期に入ります。ここで果物や動物などの絵本を読んであげると、子どもが興味をもって、楽しんで読めると思います。ただ、まだまだストーリーを理解することは難しい時期。例えば「だるまさんシリーズ」(ブロンズ新社)のように、繰り返し表現などシンプルな構成のものがおすすめです。思わず真似をしたくなるポーズや、「どてっ」「ぺこっ」「ぎゅっ」といった擬音語が何度も出てくることで、話の意味は完全には分からなくても言葉の楽しさや面白さに触れ、言葉との距離が縮まっていくと思います」

■幼児期前半(2〜3歳) 【簡単なストーリーのある本が読めるように】

「だんだんとストーリーが理解できるようになり始める時期。同時に、一般的に『いやいや期』といって子どもの自我が芽生える頃でもあります。たとえば、電車や食べ物など、その子の興味の方向性に沿った絵本や、簡単なストーリーのある絵本を選んであげると楽しめるでしょう。生活への関心も芽生えてきていますから、料理やお着替え、トイレトレーニングなどが描かれる絵本もおすすめ。絵本に登場するキャラクターを真似したり、自分と比較してみたりして『私はちゃんとできるよ!』と主張する子も出てきます」

■幼児期後半(3歳〜) 【主人公に感情移入できるようにも】

「3歳頃になると友だちとの人間関係についても理解し始めます。そして4歳以降になると自分とは異なる意思を持った他者についての想像力がぐんと深まっていきます。同時にストーリーへの理解力も増していますから、主人公に感情移入して絵本を読むことができるようになってきます。『はじめてのおつかい』(福音館書店)のように、自分と同年代の子どもが様々な挑戦をする様子を、自分ごとのようにハラハラドキドキ見守るようになるのです。他者への思いやりに目覚めるような絵本を読んであげるのもいいかもしれません」

※  ※  ※  ※  ※

以上に記したことは全体的な傾向で、特に幼少期においての読書傾向は個人差が大きいのは言うまでもありません。中には全然絵本に興味を持たないお子さんもいると思います。野澤先生は「子どもが『絵本を読みたい』と意思表示したときが、その子にとって絵本が必要な時期です。1歳や2歳で絵本に興味を示さない子も少なくありませんが、そういう子でも3歳くらいになれば次第に興味を持つようになります」と言います。また世の中には名作・名著と呼ばれる絵本もありますが、何より大切なことは「その子が好む絵本がその子にとって必要な絵本」(野澤先生)だとも。

今回野澤先生には、絵本の読み聞かせは、子どもの言語習得や理解力、他者への想像力を育むのに効果的な習慣であり、親と子のコミュニケーションツールという機能もあるということを教えていただきました。

続いて特集第2弾は、読み聞かせを職業とされている“プロ”の方にインタビュー。研究者の方とは違った視点のお話をお伺いすることができたので、そちらもあわせてお読みください。

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