“離乳食がわかる動画”を見る前に読んでほしいこと

“離乳食がわかる動画”を見る前に
読んでほしいこと

妊娠・出産インフォ

初めての離乳食が始まるパパさん、ママさん、こんにちは! いま第一子となる娘の子育てに奮闘中の細川モモです。 わが家は保育園入学をきっかけに、生後6か月から離乳食を始めました。食べやすさにこだわってステップアップしたことが良かったのか、私の食いしん坊遺伝子が受け継がれたのか、好き嫌いなくなんでもよく食べてくれています。初めて酸味のあるものを食べた時に衝撃でのけぞったことなど、親としても初めての離乳食をとおして、楽しい体験をたくさんしています。

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ママ、パパが赤ちゃんの「ごはん」についてイメージしだすのは、ちょうどお食い初めのあとくらいからではないでしょうか。もう少ししたら離乳食だなあと思っているママ、いつから始めたらいいのかな? つくれるかな? とちょっぴり不安なパパに少しでもお役に立てればと思い、これから順々に公開する“離乳食がわかる動画”(10月5日スタート予定)では、わが家のレシピをご紹介していきます。

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完全母乳で子育てをされているご家庭では、生後7〜8か月までずっと母乳でもいいのではと思われている方もいるかもしれませんが、生後半年をすぎると、母乳からの栄養だけでは不足してしまうため、食事から栄養を摂る準備を始めることが必要なのです。また、食べることで口腔環境の発育を促し、つかみ食べを通じて目のピントを合わせること、温度、力加減などを覚えていくことも大切な発育過程です。 では、どうして離乳食が必要なのでしょう? それはズバリ、それは生後6か月ころになると、母乳の栄養価がぐんと落ちるからです(※1)。赤ちゃん自身がママからもらって蓄えた鉄分もストックが尽きてくる時期でもあります。

離乳食のスタート期でもっとも大切なこと それは赤ちゃんが「食べることが好き!」になるように工夫すること。

写真:ミキハウス

写真:ミキハウス

離乳食で一番大切なことは、赤ちゃんが「食事って楽しい!食べること好き!」になることだとわたしは考えています。では、どうしたら好きになってくれるのでしょうか? まずは、大人たちの食卓が「楽しそう」であること、視力の弱い赤ちゃんの興味関心を引く「彩り豊か」であることだと思います。赤ちゃんはパパとママの顔色をよく見ていて、まだ食事はできない赤ちゃんも、家族の食卓の近くにいて、その様子を感じています。「ごはんの時間って楽しそう…」と思わせることがとても大切なのです。

そして次に大切なことは、それぞれの赤ちゃんの口腔環境の発育に合わせた離乳食を食べさせてあげること。離乳食の進め方は、月齢よりも赤ちゃんの口腔環境の発育に合わせることがポイントなのです。 赤ちゃんがパクンと口にする食べものの形状や食感は、食事の好き嫌いを決める大切なポイントになります。とくに、「ゴックン」「モグモグ」「カミカミ」「パクパク」に代表される、口腔環境の発育にそった食事を心がけてあげることが食事を美味しく食べられるポイントになります。

写真:ミキハウス

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おっぱいを飲むために必要な能力である哺乳反射は、生後6〜7ヶ月頃に消えていくと言われますが、残っているうちは赤ちゃんの意識に関係なく、口から食べ物を出してしまいますので、ママの悩みの原因になります。咀嚼する力が弱いときにレタスやワカメなどの口の中にペットリはり付くものを与えてしまったり、ブロッコリーのような特殊な食感があるものを与えると、口の中に違和感を覚えて「食べるのキラーイ」となってしまうことが多いのです。

写真:ミキハウス

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歯が生えていなければ食べものを噛み砕いたり、消化できません。もし、食べてくれないな〜という時は、食材の特徴やすり潰し加減などの食感が嫌なのかな? と考えてみましょう。たとえば、「裏ごし」の方法を変えてみたり、食材のゆで時間を変えてみたりすることで、その子にとって「おいしい」と感じる食感になり、たくさん食べてくれるようになるかもしれませんよ(おっぱいを飲んでいるうちは食欲が乏しい子も少なくないようなので、「あまり食べない=食感が嫌」とは限りません)。

ちなみに日本小児歯科学会によると、日本人の赤ちゃんは欧米の赤ちゃんに比べて上下の歯が生え揃うのが白人の赤ちゃんよりも平均して6か月ほど遅いことが報告されています。このため、日本人の赤ちゃんが私たち大人と同じ咀嚼機能を体得するのは3歳すぎと考える必要があり、離乳食から幼児食への移行は急がないようにしましょう。お餅やタコなどの咀嚼しづらい食材は3歳までは控えて、離乳食スタート期から、月齢よりもわが子の発育を大切に考えてあげてください。 本コンテンツでは、記事と動画で、お料理初挑戦のパパでも上手につくっていただけるように、おかゆを炊くときの火加減や野菜の裏ごしの手順、使う道具のことなど、離乳食づくり基本の「き」をお届けしていきます。

離乳食の役割―赤ちゃんのカラダと健康の設計主はパパとママなのです。

細川モモさん

細川モモさん

これから赤ちゃんの食生活と向き合う上でぜひ覚えておいていただきたいことは、赤ちゃんの(正確には私たち大人も)カラダを作る材料は、カラダの中には存在していないということです。筋肉や血液、内臓や肌、骨などのパーツの材料は食べものの中にある栄養が作るものであり、親が与えてあげないことには栄養が不足し、発育遅延などのリスクにつながる可能性もあります。ですので、ママやパパは赤ちゃんのカラダと健康の設計主!ということを忘れないでくださいね。

写真:ミキハウス

写真:ミキハウス

本コンテンツでは、「脳」「骨」「筋肉」「血液(貧血)」「腸内環境」とテーマを分け、それぞれを育むために大切な知識と、それを叶えるレシピをご提供します。間違いのない離乳食で赤ちゃんの健やかな発育に必要な栄養を、しっかりと与えてあげましょう。

「脳」

最近、親にとって最大の関心ごとの一つと言われている「育脳」。赤ちゃんの脳の成長には栄養が欠かせません。さらに咀嚼(そしゃく)が脳の発達にも好影響を与えるのです。栄養や咀嚼が運動機能・認知機能・精神活動・記憶力などに与える影響は研究(※2)でも明らかになっています。とくに、6歳までは脳が肥大化する大切な時期。栄養不足にならないよう注意してあげたいですね。

「骨」

近年、「くる病」という赤ちゃんの骨が変形してしまう病気が増えています。ビタミンD欠乏が原因で起こるものであり、ベジタリアンのお母さんから生まれるリスクが高い病気です。骨をつくる栄養素はカルシウムだけと思っている方も少なくないと思いますが、骨はたんぱく質、カルシウム、マグネシウム、ビタミンD、ビタミンKなどの栄養素から作られています。また、骨の強さには個人差があり、どこまで子どもの骨を強くしてあげられるかは親の知識と意識が強く影響するといわれています。寿命100年時代に生まれた子どもの健康を支える丈夫な骨を育んであげましょう。

「筋肉」

赤ちゃんは生まれながらに筋肉を身につけて生まれてきますが(筋肉量は出生体重による)、成長とともに動き回るようになり、とくに男の子はがっしりと硬い身体つきになっていきます。放っておいても子どもはよく動き回りますが、実は筋肉量は運動量だけによるものではありません。食事の内容によって筋肉のつき方や落ち方に差がつくことは多くの研究(※3)から明らかになっています。筋肉の材料も食材の中にしかありませんので、しっかり鍛えてあげましょう。

「血液(貧血)」

子どもを育てる上で、発育にも影響する「貧血」に気をつけてあげることは大切です。生後6か月頃までの赤ちゃんはママにもらって蓄えた鉄分がありますが、離乳食が始まる頃には枯渇してしまい、母乳中の鉄分も減少してしまいます。鉄分の不足は運動機能・認知機能・精神活動の低下に影響しますので、食事を通してしっかり与えてあげましょう。(※4~7)

「腸内環境」

栄養を体内に吸収する腸は、離乳食を始めることで大きく変化をします。腸内細菌が変化し、それまで臭いがしなかった便が急に臭いだし、腸の変化を感じ取れます。最新の研究では、夜泣きと腸内細菌に関する報告もあり(※8)、赤ちゃんの機嫌に腸内環境が大きく関係している可能性があります。生まれてすぐは善玉菌優位でも、下痢や便秘をしやすいのが子どもの腸です。アレルギーや免疫にも関係しますので、良い腸内環境を育んであげましょう。

食事の内容だけでなく、環境にも目を向けてあげましょう

写真:ミキハウス

写真:ミキハウス

初めての離乳食、しばらくはママもパパも赤ちゃんも慣れることに必死だと思います。少し慣れてきたら、内容だけでなく、食卓環境にも目を向けてあげられるといいですね。なぜなら、「どのような環境で食べるのか」は、消化に影響をしたり、発育を促すことができるからです。例えば、生後9か月頃から始まる「つかみ食べ」。親はテーブルや床が汚れるのが嫌で、ついつい予防線を張って食べさせてしまいがちです。しかし、指先や唇を使うことは脳への刺激となります。最初はうまくできなくても、繰り返し指先を使うことで掴むから「つまむ」ができようにもなりますし、やればやるほど指先の機能は発達します。もちろん食べやすくしてあげることも大切です。お米は海苔を巻いて一口サイズのおにぎりにしたり、べたつかないおやきにするなど、親が赤ちゃんの発育に合わせて工夫をしてあげるといいですね。

食事は栄養だけでなく、美味しく食べることでドーパミンやセロトニンなどの快楽物質が分泌されます。これらの快楽物質は、リラックスしたり気分を良くしたりしてくれるだけでなく、消化力を高め、栄養吸収を促す働きもあります。なので食事中は、赤ちゃんに「美味しいね!」と笑顔で話しかけ、食事=楽しいものと教えてあげましょう。食事とは、親とのコミュニケーションの場であり、カラフルな食材を通して色彩を学ぶ機会でもありますから、余裕が出てきたら栄養面以外のことにも目を向けてあげてくださいね。

<出典>
※1 米山ら 日本公衆衛生雑誌 42(7), 472-481, 1995.
※2 富田ら 日本口腔科学会雑誌 vol56 (4),350-355,2007.
※3 下方ら 日本老年学会誌 49(6) 721-725,2012.
※4 Lozoff B, et al . J Pediatr 152 : 696―702, 2008.
※5 Bruner AB, et al .The Lancet 348 : 992―996, 1996.
※6 Halterman JS, et al . Pediatrics 107 : 1381―1386, 2001.
※7 畠山, 科学と生物 16(2) 78-88,1976.
※8 Savino F,et al. Pediatrics. 2007 Jan;119(1):e124-30.

<参考書籍>
・「子育て・子育ちを支援する 子どもの食と栄養」 堤ちはる 萌文書林
・ 2017 Nutrition and Development: Short and Long Term Consequences for Health BNF (British Nutrition Foundation) May 2013, Wiley-Blackwell

 

【監修】 ラブテリ トーキョー&ニューヨーク (協力 管理栄養士:宇野 薫・園部 裕美、理学療法士:粕屋もも)

 

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【プロフィール】 細川モモ
・予防医療コンサルタント
・社団法人ラブテリ トーキョー&ニューヨーク代表理事
・2011~2015 ミス・ユニバース・ジャパン オフィシャルトレーナー
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両親のガン闘病をきっかけに予防医学に関心をもち、渡米。Internaotional Nutrition Supplement Adviser.の資格を取得後、健康食品会社の開発部に所属。以後10年間欧米の疾病予防リサーチと勉強に充て、09年の春に予防医療のプロフェッショナルチーム「ラブテリ トーキョー&ニューヨーク」を日本とNYに発足。(株)タニタとともに5年に渡り世界一の美女候補の身体づくりをサポートし、美と食と健康について分析を深めている。11年より女子栄養大学らとともに「卵巣年齢共同研究PJ」「高崎妊婦栄養研究PJ」など、女性と次世代の健康に関する共同研究を複数手がけ、国際学会並びに論文発表を精力的に行う。14年に三菱地所(株)とともに働く女性の健康支援の一環として「まるのうち保健室」をオープンし、「働き女子1,000名白書」を発表。数々の試みがNHK「クローズアップ現代」、農林水産省「食育白書」、NHK world、日経新聞他に取り上げられる。厚生労働省データヘルス見本市2015にて“健康づくりのプロ”として登壇。
現在は一児の母として母子健康向上PJを立ち上げ、「おやこ保健室」を全国展開すると共に日経DUALやPre-mo(プレモ)にて子育てレシピエッセイを執筆中。離乳食などの食生活を公開しているSNSが人気。

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