お産が終わってからも“大変”だけど不安にならないで
「ゆっくりママになる」ために心がけておくべきこととは

ミキハウス編集部

産後の体のトラブルは、ほとんどがホルモンバランスの変化でおきます

続いては具体的な産後トラブルとその原因について伺いました。

「みなさんが必ず経験するわけではありませんが、出産の時の会陰切開の傷が痛むとか、いきみで痔になってしまったり、出血が多いと貧血になる人もいます。妊娠中から高血圧症候群や便秘、むくみなどがあると、産後もそれらに悩まされるかもしれません。腰痛や関節炎、腱鞘炎、脱毛、長びくマタニティブルーズも産後のママに見られる症状です。おっぱいにトラブルを抱えるママも多いんですよ。」(萩原先生)

先輩ママ・パパたちの産後の苦労話について出産準備サイトが調べてみたところ、「抱っこしていないと赤ちゃんが泣くので、ずっと抱っこで家事をしていたら、両膝が関節炎になってしまい、歩くのもつらかった」(30代ママ)、「出産後、妻の様子がおかしいと思っていたら、産後うつと診断された。実家の両親に手伝いを頼み、自分も会社に相談して仕事量を減らしてもらい、妻と子どもの面倒を見た」(20代パパ)、「母乳が出すぎて、乳腺炎に。自治体の子育て支援で訪問マッサージをしてくれる助産師さんにたびたびお世話になった」(30代ママ)と、萩原先生が指摘するようなトラブルを告白するママ・パパがたくさんいらっしゃいました。みなさん、産後にとても苦労されているようです。

こうした産後トラブルの原因は、妊娠・出産のために分泌されていたホルモンが、突然激減することが主な原因と萩原先生は言います。

例えば、妊娠後期になると、赤ちゃんがうまく産道を通れるように、「リラキシン」という関節をゆるめるホルモンが出ます。しかし、産後すぐにゆるんだ関節が元に戻るわけではないので、赤ちゃんを頻繁に抱っこしていると、腰痛や関節炎、腱鞘炎になってしまうママがいるというわけです。

「脱毛も同じです。妊娠中は女性ホルモンの分泌が盛んなので髪が抜けにくかったのに、産後は体が元に戻るにつれてそれまで抜けなかった分の髪が一度に抜けるので、ママたちはびっくりしてしまうんですね」(萩原先生)

また、最近問題になっている“産後うつ”も、環境や心理的な要因などに加えて、ホルモンバランスの急激な変化も影響しているのだとか。

「産後のホルモンバランスの変化により、眠れなかったり、怒りっぽくなったり、涙もろくなったりといった経験をするママは珍しくありません。いわゆるマタニティブルーズと呼ばれるもので、約30%の産婦さんが経験すると言われています。だから、ある意味仕方のないことなのです。その前提を知っていれば、『妊娠前の体に戻っている途中なんだ』と考えることができて、それほど気にならないのではないでしょうか。でもそんな知識がなく、赤ちゃんの世話に追われて疲労や睡眠不足が蓄積すると、マタニティブルーズが長引いてしまい、悪化して、”産後うつ“と呼ばれる症状が出ることもあります。パパや周りの人たちも、ママの体に起きていることを理解して、『回復のために必要な時期』と受け入れ、支えてあげることが大事ではないでしょうか」(萩原先生)

乳腺炎など、おっぱいの悩みも定番です。最近では、母乳は赤ちゃんが欲しがる時にいつでも飲ませましょうと指導されることも多いのですが、赤ちゃんが泣くたびに授乳をすると、ママが休む暇がなかったり、乳首に傷ができたりということも起こりがちです。

「おっぱいが出すぎて困ったり、足りないのではないかと心配したり。おっぱいが詰まって炎症をおこす乳腺炎は、熱が出たり痛みがあったりとつらいものです。母乳育児でがんばりすぎずに、赤ちゃんが十分な量を飲めているのか、赤ちゃんの様子などから見極めることも大事。ママは母乳が出なくても『おっぱいが出なくてごめんね』とか『赤ちゃんに申し訳ない』なんて悩む必要はありません。ミルクと上手に付き合って、楽な気持ちで育児を楽しんでもらいたいです」(萩原先生)

体の不調は、慣れない赤ちゃんのお世話にとまどう新米ママを必要以上に神経質にしてしまいがちです。そんなママを心配しながら見守るパパも、ちょっぴり不安になってしまいますね。こんな時こそ、パパはママを労り、ママはパパを頼りにして、赤ちゃんのためにも幸せな家庭を築いていきたいものです。

次のページ 赤ちゃんとママ、一緒に成長していきましょう

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