「どうしてワクチンが必要なの?」
専門医が語る予防接種の基礎知識

2019.06.04

ミキハウス編集部

ワクチンはまわりのみんなのため、大切な人のためにも受けさせてあげてください

ワクチンを接種することで、子どもたちを感染症から守ることができますが、すべての感染症に対してワクチンがあるわけではありません(むしろ、ワクチンで防げる病気は、ごく一部です)。数多い感染症の中でも、ワクチン接種で防げる病気は「VPD」と呼ばれています。

「治療が難しいVPDから子どもたちを守るために、ワクチンは多くの研究者が長い時間と多大な労力をかけてつくり上げた人類の貴重な財産です。何かの事情で接種しそびれているうちに、子どもさんがVPDに感染するようなことがあってはあまりにかわいそうです。接種できる月齢になったら、1日でも早くワクチン接種を受けるようにしてあげましょう。すべてのVPDはワクチンで確実に予防することが大切です」(菅谷先生)

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「ワクチン接種には3つの大きな利点があります。1つ目は、『接種した本人がかからないこと』。2つ目は『かかっても軽い症状ですむこと』。このふたつはワクチンを接種する本人のための、いわゆる『個人防衛』です。そして、同じくらい大事なのが3つ目の『まわりの人にうつさないこと』。これは、『集団免疫』と呼ばれています。ワクチンを接種しないと、家族や、お友だち、おなかの赤ちゃんにVPDをうつすリスクは高まります。まわりの大切な人を守るためにも、ワクチン接種はとても大切だということをわかっていただきたいと思います」(菅谷先生)

ワクチン接種は本人のためはもちろん大切ですが、まわりの人たちへの「思いやり」でもあります。考えてみてください。私たちのまわりには、免疫力の弱い人たちがたくさんいます。たとえばワクチンを受けることができる年齢になっていない小さな赤ちゃん。おなかに赤ちゃんのいる妊婦さん。病気のためにワクチンを受けたくても受けられない人。体力の低下した高齢者の方々。もしかしたら、ワクチン接種はしたけれども、免疫が充分についていない人などもいるかもしれません。

ワクチンを接種できる人たちが、きちんとワクチンを受ける。このことは、同じ社会に暮らすものとして守っていきたいルールであり、最低限の「思いやり」でもあるのです。

次のページ ワクチンは決められた回数、ちゃんと受けることが大事です

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