「どうしてワクチンが必要なの?」
専門医が語る予防接種の基礎知識

2019.06.04

ミキハウス編集部

ワクチンは決められた回数、ちゃんと受けることが大事です

日本では生後2か月からワクチン接種が推奨されています。1歳代までに接種できるワクチンは約10種類で、すべて接種すれば約14のVPDを予防できます。下記の「0歳の予防接種スケジュール」の表を見ながら、菅谷先生にワクチンについてもう少し詳しく教えていただきましょう。

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「まずワクチンには、『生ワクチン』と『不活化ワクチン』、さらに『トキソイド』という3種類があります。生ワクチンは免疫ができる最低レベルにまで病原性を弱めたもので、副反応として、もともとの病気のごく軽い症状がでることがあります。不活化ワクチンとは、細菌やウイルスの病原性を完全になくして、免疫をつくるのに必要な成分だけを取り出してつくったもので、接種してもその病気になることはありません。トキソイドは不活化ワクチンとほぼ同じで、細菌の出す毒素の毒性をなくし、免疫をつくる働きだけにしたものです」(菅谷先生)

ワクチンの接種は注射によるものがほとんど。しかし、ロタウイルスワクチンだけは口から飲む経口ワクチンです。ロタウイルスワクチンには2つのタイプがありますが、効果に差はありません。また、1歳前後までに受けられる約10種類のワクチンのうち8つは定期接種になっていて原則として無料で受けられます。ロタウイスルワクチンとおたふくかぜワクチンは任意接種で、自治体によって助成制度がありますが、ほとんどの場合有料です。

「生後2か月から5か月頃までは毎月予防接種をすることになりますが、親御さんとしては接種のたびに泣きじゃくるわが子を見守るのは心が痛むと思います。しかし、今現在、接種できるすべてのワクチンは、効果と安全性の検証が充分行われています。また、同時接種の効果と安全性に関しても問題がないことがわかっています。心配しないで接種できるワクチンは必ず同時接種で受けてください」(菅谷先生)

ワクチンは接種可能な時期になったらなるべく早く始めて、きちんと決められた回数を接種することが大切です。上のスケジュール表を参考にワクチン接種を受けてください。

 

〈参考資料〉
NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会HP
http://www.know-vpd.jp/index.php

 

【プロフィール】
菅谷 明則(すがや あきのり)
NPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会 理事長 すがやこどもクリニック院長 医学博士 日本小児科学会専門医 慶應義塾大学医学部卒業。慶応義塾大学病院、東京都立大塚病院、東京都立清瀬小児科病院を経て、2005年9月に、すがやこどもクリニックを開院。2017年からNPO法人VPDを知って、子どもを守ろうの会の理事長を務めVPDの予防の啓発活動に取り組んでいる。

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