【専門医監修】保険適用前に知っておきたい 不妊治療の基礎知識
〈part2:治療の現状と課題〉

タイミング法から顕微受精まで、さまざまな不妊治療があります

タイミング法から顕微受精まで、さまざまな不妊治療があります

検査をしても原因が分からない、もしくは原因を治しても妊娠しない場合は、排卵と受精を補助する治療が行われます。一般的に治療はタイミング法→人工授精→生殖補助医療(体外受精、顕微授精)の順で高度になっていきます。それぞれの概要を以下で紹介していきましょう。

【治療費は施設によって価格差はありますが、今回は内閣府がまとめた参考資料(※1)を基にしています】

・タイミング法

排卵の2日前ごろの最も妊娠しやすいと言われている時期に性交を行う方法。卵胞の大きさや尿中のホルモンを測定し、排卵日を推定する。排卵日前後に数回の通院が必要。
(健康保険適用内、治療費は数千円~2万円/回)

・人工授精

主に精子に問題がある場合に用いられる方法。自慰で採取した精液から、動きのいい精子を取り出して洗浄し、最も妊娠しやすい時期にチューブで子宮内に注入する。排卵に問題がなくても、人工授精の妊娠率を上げるために排卵誘発が行われることもある。
(健康保険適用外、治療費は1~3万円/回)

・生殖補助医療(体外受精、顕微授精)

排卵直前に腟から卵巣に針を刺して卵子を取り出し、体外で精子と受精させる方法。通常体外で2~5日間培養して、順調に細胞分裂を繰り返す発育のよい胚(受精卵)を選び、子宮内に移植する。精子と卵子が自然に受精しない、あるいは精子の数が極端に少ない場合は、ひとつの精子を直接卵子に注入して受精を促す顕微授精が行われる。
(健康保険適用外、特定不妊治療費助成制度適用、治療費は体外受精20~60万円/回、顕微授精30~70万/回)


これらが一般的な治療の流れではありますが、吉村先生によるとそうした状況も変化しつつあると言います。

「タイミング法からひとつずつ試していくと、あまりに治療に時間がかかってしまいます。最近では治療を望むカップルの年齢が高いケースも多く、時間の経過とともに徐々に妊娠が難しくなることを考慮して、すぐに体外受精などの生殖補助医療を始めるケースも少なくありません。要は原因を特定してそこを治していきましょう、という段階を踏まずに、一気に生殖補助医療から始めるということです。ちなみに体外受精、顕微授精、どちらの方法にもメリット、デメリットがあるため、採取した卵子の半分は体外受精、残りの半分は顕微授精をするスプリット法を採用するケースも増えています」(吉村先生)

妊娠のしやすさと年齢が大きく関わっている事を考えると、それぞれの状況に合わせた治療を選択することも必要なようです。

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