【小児科医・高橋孝雄の子育て相談 特別編】vol.1 
相談「コロナ禍は、子どものコミュニケーション能力に影響する?」ほか

小児科医 / 高橋孝雄先生

リスク回避の“先回り育児”は子どもに悪影響ですか?

【相談2】
子ども2人(4歳10ヶ月の女の子、2歳4ヶ月女の子)、
夫、母親である私の4人家族です。
子どもを叱らなくても済むよう、事前に
「電車に乗るときは、大きな声を出すと周りの人がびっくりしちゃうから静かにね」
「お外を歩くときは車にぶつかると怪我しちゃうから、走らず手を繋いで歩こうね」
などとお約束をしていましたが、長女が3歳の頃に「お約束ばっかりだね」と言われてしまい、
何でも先回りして注意(お約束)することで、
子どもの行動を制限してしまっているのだろうかと考えてしまいました。
4歳になった長女は自分で色々と分かって行動するようになってきましたが、
2歳の次女には色々と注意する場面が増えてきて、
「今までと同じように先回りして注意ばかりでいいのだろうか」と悩んでいます。
先回りしたお約束は子どもにとって良いものなのでしょうか?(ringo)

高橋先生:なるほど、お子さんが間違ったことをする前に先回りをして、事前に注意をしておいてあげる。失敗がないようにしてあげるという子育ての方法ですね。「先回り育児」――これは今思いついた言葉ですが――は、ある意味でお母さんが、お子さんを大事にしている、温かい気持ちで育児をしている証拠だと思います。それは全然悪いことではないです。ただその一方で、長女のことを“慎重なタイプの子ども”にしてしまっている面もあるかもしれません。もちろん小さい時に慎重だからといって、慎重な大人になるとも限らないんです。なので、ずいぶん先のことを心配する必要はないと思います。

I:はい。まずは心配しなくてよい、と。

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高橋先生:言うまでもなく、大きな失敗とか本当に危ないことは、先回りして親が注意して防いであげなければいけません。けれども、子どもにとって非常に重要なことは、【取り返しのつくような小さな失敗】をたくさんさせてあげることだと思います。

I:本にも書かれていたことですね。

高橋先生:ええ。ただ、このringoさんは、自分でも「注意ばかりしていいのだろうか」と、そういうふうに気づいていらっしゃるので、一言で言うと問題はないと思います。もし何か伝えるべきことがあるとするならば、まだ子どもが小さいうちに、小さな失敗を少しずつさせてあげて、それを自分でリカバリーする、そういう経験を積ませてあげてください。できなくてもいいからやってごらん、とかそういう言葉がけが良いのではないかと思います。

I:ありがとうございます。ringoさん、いかがでしたでしょうか? 是非参考になさってください。それでは、次の質問ですが…これも、ringoさんからのご相談ですね。

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