【専門家監修】 昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれの男性は、今すぐ風しんの抗体検査とワクチン接種を!

【専門家監修】
昭和37年4月2日から
昭和54年4月1日生まれの男性は、
今すぐ風しんの抗体検査とワクチン接種を!

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私達は新型コロナウイルスにより、嫌というほど感染症の恐ろしさを知りました。そして、言うまでもなく感染症は新型コロナだけではありません。

特におなかで赤ちゃんを育てているプレママにとって、最も気になる感染症は風しんです。

実はこの1年、国内外の人の移動が少なくなり、マスクや手洗い、3密を避けるなどのコロナ対策が功を奏して、多くの感染症が減少しています(※1、※2)。しかしながら「今の状況のままでは数年後には、風しんが再び流行する恐れがあります」と指摘するのは、国立感染症研究所感染症疫学センター室長で医学博士の多屋馨子先生です。

感染が収まっている今だからこそ気をつけたいプレママの風しん予防策とプレパパのワクチン接種の重要性について、多屋先生にお話を伺いました。

 

風しんウイルスは新型コロナウイルスよりも感染力が強いです

風しんウイルスは新型コロナウイルスよりも感染力が強いです

2月4日は「風疹(しん)の日」。出産準備サイトでは、改めて風しんについて考えたいと思います。

風しんとは、風しんウイルスに感染することで発症する病気で、主な症状は、発熱、発疹、リンパ節の腫れなど。感染経路は、飛沫感染と接触感染に加えて、先天性風しん症候群を引き起こす母子感染があります。

風しんは比較的症状が軽い感染症としてとらえられがちですが、多屋先生は「みんなが軽い症状というわけではありません」と教えてくださいます。

「2018年から2020年の3年間で風しんを発症した5,342人のデータを見ると、約250人にひとりが血小板減少性紫斑病(出血しやすく、出血が止まりにくくなる病気)にかかっていますし、風しん脳炎を発症した人もいます。2012~13年の大流行では、もっと大勢の方が合併症に苦しみました。特に大人の場合、長く続く高熱や関節痛につらい思いをする方も少なくないようです」(多屋先生)

新型コロナで無症状の感染者の存在が取りあげられていますが、風しんの場合もこうした不顕性(ふけんせい)感染の患者さんが15~30%ほどいると推定されています。感染してから発症するまでの潜伏期間が約2~3週間と長く、発症の約1週間前から感染力を持つために感染に気づく前に他人にうつしてしまう可能性も大きい病気です。

また風しんウイルスは、全員が免疫を持たない人の間での“基本再生産数”(ひとりの感染者から何人にうつるかを示す数)が5~7と感染力が強いのも特徴です。この年末年始に新型コロナウイルスが激増していると言われた時でも、「実効再生産数が1を超える水準」でしたから、風しんがいかに強い感染力を持っているかが分かります。

そして、風しんウイルスの感染を考える際、忘れてはならないのはプレママ、そして胎児への影響です。プレママが妊娠20週頃までに風しんウイルスに感染すると「先天性風しん症候群」を引き起こす恐れがあります。

「先天性風しん症候群」とは、おなかの赤ちゃんに難聴や白内障、心疾患などが起こる先天性の異常。専門家として風しんと先天性風しん症候群の予防医療に携わる多屋先生によると、妊娠初期のプレママの感染は特にリスクが高いそうです。

「妊娠20週ぐらいまでは、妊婦さんのおなかの中で赤ちゃんの耳や目、心臓などの器官ができ上がっていく時期です。妊娠1か月で風しんを発病すると、50%以上の赤ちゃんに異常が起き、2か月で35%、3か月で18%、4か月で8%程度の赤ちゃんに影響するというデータがあります。ですから、妊娠中は感染しないように十分に気をつけていただきたいと思います」(多屋先生)

プレママは予防接種の記録を母子健康手帳などで確認してください。記録が見つからなければ、医療機関で抗体検査を受けて確かめることもできますので、プレママはもちろんのことプレパパも妊娠前に抗体の有無を調べるようにしてください。

風しんの感染防止にはワクチン接種しかありません

風しんの感染防止にはワクチン接種しかありません

風しんの予防にはワクチン接種しかないんです」と多屋先生は断言します。さらに「多くの人がワクチン接種をして集団免疫を獲得すれば、大規模な流行は防げるのです」とも。

新型コロナウイルスのワクチンは、いまだかつてないスピードで世界各国での開発が進んでいます。これほどまでに人類が望んでいるワクチン開発。一方。風しんのワクチンは有効性、安全性が確立しており、さらに日本では、望めば接種できる“手に届くワクチン”です。しかしながら、集団免疫獲得には至っていません。

「日本での風しんの定期接種は1977年に中学生の女子を対象に始まりました。1995年にはすべての幼児を対象にした定期接種となり、今の2回接種になったのは2006年のこと。その後2回接種を受けられなかった世代への追加対策が取られ、日本人、特に女性の風しんウイルスの抗体保有率は非常に高くなってはいるものの、風しんの流行は今でも周期的に起きています」(多屋先生)

日本では2004年に推計患者数約4万人の爆発的な流行があり、幼児への2回接種が始まり、10代への免疫強化がなされた後の、2012年~13年にも全国で1万5千人以上の感染が報告されて、社会問題になりました(※3)。この影響を受けたと見られる先天性風しん症候群の赤ちゃんは2012年から2014年に45人生まれています(※4)。

近年の日本における風しん流行の原因は、ワクチン接種が進んでいない国々との往来でウイルスが持ち込まれて、『抗体を持っていない一部の日本人』の間で広まるためです

「近年の日本における風しん流行の原因は、ワクチン接種が進んでいない国々との往来でウイルスが持ち込まれて、『抗体を持っていない一部の日本人』の間で広まるためです。しかしながら、コロナが収まれば、海外との往来が再開します。そうすれば、風しんは再び流行することになるでしょう」(多屋先生)

「抗体を持っていない一部の日本人」が、ワクチン接種をしなければ、いずれ風しんは再流行する可能性があるというわけです。さて、先生が言う「抗体を持っていない一部の日本人」とは誰のことなのでしょうか。

それは…
昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれの男性です。

この世代の男性は、これまでの定期接種制度の変遷の中で接種を受けるチャンスがないまま今に至っていて、約2割は風しんに対する十分な抗体を持っていません。

そこで国は昨年度から「風しん第5期定期接種」として、ワクチン未接種世代(昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれ)の男性に対して無料で抗体検査とワクチン接種が受けられるクーポン券を配布しています。

「対象になっているのは今年42歳から59歳の男性ですから、家庭では赤ちゃんが欲しいパパかもしれないし、孫の誕生を楽しみにしている祖父とも考えられる年齢です。自分には関係ないという男性でも、職場の同僚や部下が妊娠するかもしれないと思えば、無関心ではいられないはずです。

風しんの抗体検査を受けて、もし抗体を持っていなかったらワクチンを接種していただく。難しいことではありませんから、お住まいの自治体からクーポンが届いたら、ぜひ近くの医療機関で抗体検査を受けていただきたいです」(多屋先生)

昨年、ミキハウス出産準備サイト編集部のA(昭和52年生まれ)は自分が“対象者”であることを知り、自宅近くのクリニックで抗体検査を受けました。後日、十分な抗体があるという検査結果が届き、ワクチン接種はしなかったというIですが、検査の手軽さに驚いたそうです。

「一度クーポンをなくしてしまったのですが、自治体に問い合わせたらすぐに再発行してくれました。検査できるクリニックの一覧の中から自分で選んで電話予約して行くので待ち時間もなく、簡単な採血だけで終わりです。こんなささやかなことが風しん対策になり、先天性風しん症候群で苦しむ赤ちゃんがいなくなるのなら、社会の一員として絶対にやるべきことだと感じました」(編集部A)

国は昨年度から「風しん第5期定期接種」として、ワクチン未接種世代(昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれ)の男性に対して無料で抗体検査とワクチン接種が受けられるクーポン券を配布しています。

多屋先生はクーポンが送られてきた対象の男性たちに重ねて呼びかけます。

「今回の第5期定期接種の対象者は約1千500万人です。でも開始から1年半経った昨年10月時点の集計では、風しんの抗体検査を受けた方は17%の262万9742人しかいないんです。国の負担で抗体検査とワクチン接種を行えるクーポンの期限は2022年3月です。つまり残りはあと1年と少し。自費で受けるとそれぞれ1万円以上する検査と予防接種が今なら無料でできますから、クーポンが届いた方はお近くのクリニックで抗体検査を受けてください」(多屋先生)

この記事を読んでいるあなたが対象者なら、まずは近くのクリニックで風しんの抗体検査を受けてください。もし家族に対象者がいるなら、その方が風しんでつらい思いをすることがないように、また家庭や職場で風しんを拡げることがないように、検査をすすめてあげてください。

コロナ禍の中で私たちは今、感染症の怖さを日々感じつつ、打ち勝つための努力を重ねています。感染症で思いもよらない障害を持って生まれてきてしまう赤ちゃんたちの苦しみに思いをはせ、風しん予防に積極的に取り組むのは、私たち大人に課せられた責任でしょう。

「何度も繰り返したいと思います。昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれの男性の皆様、まずは抗体検査を受けてください。とても簡単なことです。それだけでこの社会で暮らす『誰か』が救われるのです」(多屋先生)

 

【プロフィール】
多屋 馨子(たや・けいこ)
国立感染症研究所 感染症疫学センター 第三室室長 医学博士。高知医科大学(現高知大学)医学部医学科卒。大阪大学医学部小児科学講座、同微生物学講座を経て、2001年より
国立感染症研究所、2013年より同研究所 感染症疫学センター室長。専門は臨床ウイルス学、小児感染症学。

 

〈参考資料〉
(※1)インフルエンザ流行レベルマップ(国立感染症研究所/2021年1月13日現在)
https://nesid4g.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/2020_2021/2021_01/jmap.html
(※2)風疹に関する疫学調査(国立感染症研究所/2021年1月19日掲載)
https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/rubella/2021/rubella210113.pdf
(※3)風しんの発生状況等について(厚生労働省/2019年9月27日)
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000360787.pdf
(※4)先天性風しん症候群(CRS)の報告(国立感染症研究所/2020年1月22日現在)
https://www.niid.go.jp/niid/ja/rubella-m-111/rubella-top/700-idsc/8588-rubella-crs.html

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