【小児科医・高橋孝雄の子育て相談】
乳児期〜幼児期の子育て 
ママ・パパが知っておきたい「基本姿勢」

小児科医 / 高橋孝雄先生

小さな失敗は成長のチャンス。大人の“口出し”は控えましょう

小さな失敗は成長のチャンス。大人の“口出し”は控えましょう

高橋先生:3歳〜5歳の幼児期後期には、友だちと盛んに遊ぶようになり、その中で社会性が育っていきます。ルールや順番を守って友だちと遊び、その過程で人間関係を楽しめるようになっていくんです。この時期でも失敗は貴重な経験です。いろいろな環境や人間関係の中で、失敗から学ぶことはたくさんあります。

I:親はここでも口出しはしないと。

高橋先生:友だちとの多少のいざこざは、放っておいてもいいんじゃないですか。さっきケンカしたと思ったのにすぐに仲直りするし、たとえケンカ別れしても、翌日にはまた遊んでいるのが子どもです。親が口を出して、親同士のいがみ合いが始まると大ごとになりかねませんから。

I:最近は子どもがやったことは親の責任という風潮も一部でありますよね。だからつい、トラブルにならないように、先回りしてしまう親御さんも多いのかなぁと…あくまで個人的な感覚ですけど、そう思っています。

高橋先生:親の責任は子どもの責任を負うことではないのでは。親として責任を果たすべきことは他にあるんじゃないですか。親が口を出すより、子どもたちに任せて、子ども同士で解決させたほうが学ぶことは多いはずです。

I:子どもたちで解決できるのか、ちょっと不安ですが、今度やらせてみようかな。相手の親御さんが理解してくれるといいんですが。まぁ、そのあたりは親同士のコミュニケーションの問題ですものね。

高橋先生:そう思います。そうやって失敗やいざこざを経験しながら、少しずつ社会性を身につけた子どもたちは、6歳になると小学校に入学します。そこからは「児童」と呼ばれる時期ですね。

僕は小学校の6年間って、社会人になるための練習の場だと思います。時間割があって、座って人の話を聞いて、上級生は下級生のお世話をして、掃除当番がある。教室だけではなくて、体育館や保健室という場所もあるし、校長先生や教頭先生という地位の高い人もいるらしい。そんな環境の中で年齢差が倍ほどもある子どもたちがひとつの社会を形成している。まさに社会の縮図です。

高橋先生:ですから、いじめや嘘、内緒話など、大人がやっている悪いことは子どもたちも全部やりますよ。そうやって失敗を重ねて、また学んでいくんです。小学校の頃に、寂しかった、痛かった、悔しかったなんて思い出は誰にでもあるでしょう。いろんな経験をして、失敗することで、子どもたちは社会で生きていくために大切なことを学ぶんです。子育てのコツがあるとしたら、できるだけ多くの、小さな失敗のチャンスを与えてあげることなのかもしれませんよ。

I:子どもが自らの意思でチャレンジしている時、親は先回りしてそれを解決してやるのではなく、辛抱強く見守ることですね。わが子を困難に負けない人に育てるために、先生が教えてくださったことを心がけていきたいと思います。今回もありがとうございました!

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