パートナーとともに…「男性不妊」治療の現場(後編)

ミキハウス編集部

男性不妊に初めて助成金も

――いまだに、不妊は女性のものという認識の人も多いのが実情ですね。

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そうですね。これをまず、子どもが欲しいと思っているカップルから変えていくべきだと思います。夫婦で子どもをつくろうと決めたなら、二人で治療をするのは自然なこと。どっちが悪いかということをはっきりさせるのではなく、お互いが一緒に同じ方向を向くのがとても重要です。うちのクリニックに来る夫婦は仲がいいし、前向きな人が多いです。

現在、自治体から不妊治療に関して助成金が出されています。1回15万円で、1年度で2回まで交付されますが、体外受精、顕微授精に対してです。これはすなわち、女性に対してしか出ないということ。男性不妊に対してはまったくゼロです。それが、今年4月から初めて、三重県で助成金の交付が始まりました。テセの手術に5万円です。額は十分ではないですが、とても意味のあることだと思います。これがどんどん日本中に広まって、男性不妊の問題に目が向けられ、社会の認識が変わり、患者さんが周囲からストレスではなく温かいサポートを受ける。それが僕の希望です。

 

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【プロフィール】

石川智基(いしかわとももと)

「リプロダクションクリニック大阪」CEO
男性不妊症専門医。1974年兵庫県生まれ。2000年神戸大学医学部卒業。同大腎泌尿器科に入局した後、米・ニューヨークのロックフェラー大学、コーネル大学で最新の男性不妊手術を学ぶ。2005年に帰国後国内で診療と研究に携わり、2009年より再び日本を離れ、豪州メルボルン、モナシュ大学にて研鑽を積む。
現在は、リプロダクションクリニック大阪のほか、東京など全国で診療を行う。

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