【男性の妊活】精子の「数」や「質」を気にするよりも大切なこと

ミキハウス編集部

2017年の世界保健機関(WHO)の不妊症原因調査によると、不妊症のうち男性のみに原因があるケースが24%、男女両方に原因がある場合が24%で、あわせて約48%が男性にも原因があるとされています。不妊は女性だけの問題ではなく、二人の問題と考えるのが一般的です。

男性不妊の現実を知り、いかに対策すべきかを学ぶために――慶應義塾大学名誉教授で産婦人科医の吉村泰典先生に伺いました。

 

男性不妊 代表的なものは3つあります

男性不妊 代表的なものは3つあります

不妊とはカップルが避妊せずに1年程度性交しても妊娠しない状態を言いますが、男性側に起因する不妊の代表的なものは以下の通りです。

「造精機能障害」 男性不妊の8割強はこれが原因です

“男性不妊”の原因の多くは、精子を十分に作ることができない「造精機能障害」です。精子の絶対数が少ない、精子の濃度が低い、活発な精子がいない、という3つの症状が代表的なものになります。

男性不妊の原因の8割強を占めます。症状としては、精液中の精子の数が低下する『乏精子症(ぼうせいししょう)』や精液中に精子が観察できない『無精子症』、活発な前身運動をする精子の割合が低下する『精子無力症』などがあります」(吉村先生)

「造精機能障害」 男性不妊の8割強はこれが原因です

「性機能障害(ED)」 若い方も無関係ではありません

性行為の際に十分に勃起しない、勃起状態を維持できずなかなか性行為ができない「性機能障害(ED)」は、男性不妊の原因の1割に上ります。

年齢を重ねると誰もがなりうる症状ですが、最近は妊活をする年代の若い方でも、EDとなるケースが増えています。EDには心理的な要因がネックになる『心因性勃起障害』、身体的な働きに異常をきたして発症する『器質性勃起障害』、両方によって引き起こされる『混合性勃起障害』が主なタイプとなります」(吉村先生)

「精路通過障害」 性感染症の後遺症として発症することも

精子の輸送路(精路)に異常をきたすことで射精ができない状態です。これも男性不妊の原因のひとつ。

「たとえばクラミジアなどの性感染症(STD)の後遺症として、精巣上体の中の細い管(精巣上体管)や精管がふさがることもあります。また、射精した感覚はあるのに、精液が全く出なかったり、量が非常に少なかったりする『逆行性射精』も精路通過障害です。これは糖尿病や、前立腺の手術などが原因となる場合もあります」(吉村先生)

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