2月4日は「風しんの日」。風しんは、妊婦さんが感染すると生まれてくる子どもに影響が出ることがあり、感染対策をしっかり取ることが非常に重要とされています。日本では数年に1度、流行している“やっかいな感染症”。先進国ではほぼ流行することがない風しんはなぜ日本で撲滅できずにいるのでしょうか。またどうすれば流行を抑えることができるのでしょうか。今、日本人が知っておくべきことをまとめました。
日本ではいつでも流行する可能性を秘めています
風しんは、風しんウイルスに感染することで発症する病気で、主な症状は、発熱、発疹、リンパ節の腫れなど。感染経路は、飛沫感染と接触感染に加えて、先天性風しん症候群を引き起こす母子感染があります。
風しんがやっかいな理由 その1「合併症に苦しむことがある」
仮に風しんに感染したとしても、当事者にとっては「ただの風邪」のような比較的軽い症状で済む場合が多いとされています。一方で軽い症状で済まなかった場合は、大変苦しむことにもなります。
2018年から2020年の3年間で風しんを発症した5,342人のデータを見ると、約250人にひとり(約0.4%)が血小板減少性紫斑病(出血しやすく、出血が止まりにくくなる病気)にかかっており、風しん脳炎を発症した人も。なお2012~13年の大流行では、もっと多くの方が合併症に苦しんでいます。特に大人が感染した場合、長く続く高熱や関節痛につらい思いをする方も少なくありません。「ただの風邪」だと思って甘くみない方がよさそうです。
風しんがやっかいな理由 その2「知らないうちに人にうつしてしまう」
風しんは感染後も症状があらわれない不顕性(ふけんせい)感染の患者が15~30%ほどいると推定されています。感染してから発症するまでの潜伏期間が約2~3週間と長く、発症の約1週間前から感染力を持つために感染に気づく前に他人にうつしてしまう可能性もあるのです。
また風しんウイルスは、全員が免疫を持たない人の間での“基本再生産数”(ひとりの感染者から何人にうつるかを示す数)が5~7と感染力が強いことも特徴。なお季節性インフルエンザは1.2〜1.6程度、スペインインフルエンザは1.8程度、新型コロナウイルスの武漢株は2.5程度、感染力が強いとされたオミクロン株BA.1では5程度、BA.5では5を超えているとされています。それらと比較すると、風しんがいかに感染力の高いやっかいな感染症であるかがわかります。