先進国では撲滅できている風しん。なぜ、日本では集団免疫を獲得できずにいるのでしょうか。それには“ある要因”があります。
この10年の流行にはパターンがあります
日本での風しんの定期接種は1977年に中学生の女子を対象に始まりました。1995年にはすべての幼児を対象にした定期接種となり、今の2回接種になったのは2006年のこと。その後2回接種を受けられなかった世代への追加対策が取られ、特に女性の風しんウイルスの抗体保有率は非常に高くなってはいるものの、その一方で十分な抗体を持っていない世代が存在しています。
それは、昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれの男性。この世代の日本人男性は、風しんワクチンの定期接種を受ける機会がなく、“空白の世代”となっており、他の世代の男女と比べて抗体保有率が低いのです(この世代の約2割は、風しんに対する十分な抗体を持っていないことがわかっています)。
ここ10年での流行パターンは、この世代の男性が海外の風しん流行エリアに渡航し感染、帰国後に家庭や職場で広めるというもの。
今後、海外との行き来が再び盛んになってくれば、一定数の方が海外で風しんウイルスに感染し、それを日本に持ち帰ることになります。そして十分な抗体価を持たない世代の男性の間で感染が広がれば、ふたたび大流行を引き起こすことになることが懸念されています。
まずは無料クーポンで抗体検査を
今、この国がやるべき感染対策ははっきりしています。昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれの男性の抗体保有率を90%以上に上げることです。
厚生労働省は対象となる男性に、原則無料で風しんの抗体検査と予防接種を受けられるクーポン券を発行、お住まいの自治体から自宅に発送しています。このクーポン券を利用すれば、お近くの医療機関で無料の抗体検査が受けられ、抗体価が低い場合は、無料でワクチン接種もできます。
しかしながら現状、検査率は低迷しています。対象世代のクーポン券による抗体検査率は全国平均で約25%。4人にひとりしか検査をしていません。おそらく多くの方は、クーポン券の存在に気づいていないのではないでしょうか。対象世代の男性は一度、ご自宅にクーポン券が届いているかご確認いただき、見つからない場合は、お住いの自治体にお問い合わせいただき再発行の手続きをしてください。
小さな赤ちゃんの命、人生を守ることになります。
昭和37年4月2日から昭和54年4月1日生まれというと、今年44歳から61歳になる世代。それはすなわち、赤ちゃんが欲しいプレパパかもしれないし、孫の誕生を楽しみにしているおじいちゃんかもしれない年齢です。
そもそも職場の同僚や部下は、いつ妊娠するかわかりません。電車で隣に座った女性が妊娠しているかもしれないのです。
繰り返しになりますが、対象世代の男性は風しんの抗体検査を受けて、もし抗体を持っていなかったらワクチンを接種してください。そうすれば、小さな赤ちゃんの命、人生を守ることつながるかもしれません。
また、この記事をここまで読まれた方は、ぜひ、記事をシェアしていただけるとうれしいです。そのアクションが、小さな赤ちゃんの命、人生を守ることにもなるかもしれません。ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
社会全体の取り組みとして、意識して行動してけると良いですね。