【専門医監修】 「妊活」~まず始めるべきこと~

【専門医監修】
「妊活」~まず始めるべきこと~

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「妊活」とは妊娠についてパートナーと話し合い、正しい知識を身につけて、妊娠を目指した生活を送ること。「赤ちゃんが欲しい」と思ったら、妊活の始まりです。そこで本記事では、知っておきたい妊娠のメカニズムと妊活の進め方、不妊の定義と治療についてまとめました。

妊娠のメカニズムを知りましょう

妊娠のメカニズムを知りましょう

男性のからだで作られた精子と女性の卵子が結合して受精卵ができれば、妊娠の始まりです。

■卵子と精子

女性は生まれた時から卵巣内に約200万個の卵胞を持っていますが、卵子となって排卵日に卵巣から卵管へ出ていくのは1個だけ。月経周期を28日とした場合、女性のからだは下図のサイクルで妊娠に備えて目まぐるしく“変化”していきます。

月経周期を28日とした場合のサイクル

一方、男性の精巣では日々精子が作られており、“生産量”毎日1億2000万個と言われています。1回の射精で射出された2~4mlの精液中に含まれる精子の数は約1~4億個。しかし偏った生活習慣などで精子の数が減ったり、運動率が低下する傾向があるようです。

■妊娠の成立

腟内で射精されたたくさんの精子は、子宮内を通過して卵管へと進みます。そのうちの1個が卵管内で卵子と結合し、受精卵となります。

受精卵は細胞分裂を繰り返しながら5~6日かけて子宮に到達、厚くふわふわになって受精卵を待ち受けていた子宮内膜にもぐり込みます。これを「着床」といい、妊娠が成立したことを意味します。着床は受精卵ができておよそ12日後のことです。

その後、受精卵が順調に成長すれば、着床開始後10日前後で妊娠の反応が出ます。プレママのからだは月経や排卵を止め、子宮内膜はさらに厚みを増し、授乳に備えて乳房が大きくなるなど、胎児を育て出産に備えるための変化が起こってきます。

妊活スタート! 話し合いの後はなにから始めたらいい?

妊活スタート! 話し合いの後はなにから始めたらいい?

■基礎体温を測りましょう

妊娠を目指すなら、基礎体温を測って自分のからだを知ることから始めましょう。基礎体温とは、朝、目が覚めてからだを動かす前の安静時の体温のこと。女性の基礎体温は、周期的に変化していますから、基礎体温を記録すればからだのリズムを知ることができます。

  1. 1朝起きてすぐに寝たまま測ります。体温計は就寝前に手が届く場所に置いておきましょう。
  2. 2正確に測るために舌下体温計を使います。
  3. 3毎日だいたい決まった時間に測るようにしましょう。
  4. 4毎日測れなくてもいいので、少なくとも2か月は続けるようにしましょう。

基礎体温表をつけてみて、体温が高くなっている時期(高温相)があれば排卵しているということ。排卵日には基礎体温が低くなるとネットなどで見かけることがありますが、個人差があり、必ず低くなるというわけではありません。月経が始まった日を半年ぐらい記録しておけば、排卵日が分かります。

 

■ふたりで風疹の抗体検査を受けましょう

妊娠初期のプレママが風しんに感染すると、目や耳、心臓などに異常を持つ“先天性風しん症候群”の赤ちゃんが生まれてくることがあります。プレママとプレパパは妊娠前にふたりで風しんの抗体検査を受け、抗体価が低い場合はMRワクチンを接種しておきましょう。他にも赤ちゃんに影響する感染症がありますから、早めに病院で相談してください。

 

■規則正しい生活とバランスの取れた食事を心がけましょう

妊娠に欠かせない女性ホルモンの分泌には、ストレスの少ない規則正しい生活が重要です。前述しましたが、男性もストレスが多いと精子の数が減ることがわかっています。過度な疲労や睡眠不足にも気をつけましょう。妊娠初期の赤ちゃんの発育に必要な葉酸などのビタミンは、妊娠が分かる前からしっかり摂っておきたいものです。

不妊症かも、と思ったら

不妊症かも、と思ったら

生殖可能年齢の女性と男性が避妊しない性交を半年から1年ぐらい続ければ、一般的には妊娠が成立すると言われています。1年以上経っても妊娠しない場合は、不妊かもしれません。不妊の原因がどちらにあるかで、「女性不妊」、「男性不妊」に分けられますが、その割合は同程度です。不妊の検査はふたりで受けることをおすすめします。

不妊症と診断されたら、治療が始まります。治療のステップは大まかに3段階です。まず医師が正確に予測した排卵日に性交を行うタイミング法を行います。次の人工授精ではマスターベーションで採取した精子から雑菌などを洗い流して子宮内に注入するのが一般的な方法。それでも妊娠が成立しなければ、採取した卵子と精子を体外に取り出して受精卵を作り、子宮内に移植する体外受精を行うこともあります。

不妊治療のステップ

不妊治療については、「保険適用前に知っておきたい 不妊治療の基礎知識 part1: 不妊について」(「同 part:2 治療の現状と課題」) に詳しくまとめてありますから、参考にしてください。

女性のからだでは、加齢とともに卵子の数は少なくなります。また卵子の細胞が老化して妊娠しにくくなります。子宮内膜症や子宮筋腫などが多くなることも不妊の原因のひとつです。年齢の影響は男性でも同じで、精子の数や運動性の低下が見られるようになります。

男女ともに結婚年齢が上がっている日本では、不妊に悩む夫婦は6~7組に1組の割合でいると言われています。仕事のキャリアと妊娠・出産のどちらもあきらめることなく充実した人生を送りたい――そんな願いを実現するために、「妊活」を始めてみませんか?

 

〈参考資料〉
※HUMAN 女と男のディクショナリー(日本産科婦人科学会監修/2020年2月)http://www.jsog.or.jp/modules/humanplus/index.php?content_id=1

 

dr

監修者プロフィール
吉村泰典(よしむら・やすのり)
1949年生まれ。慶應義塾大学名誉教授 産婦人科医。日本産科婦人科学会理事長、日本生殖医学会理事長を歴任した不妊治療のスペシャリスト。これまで2000人以上の不妊症、3000人以上の分娩など、数多くの患者の治療にあたる一方、第2次~第4次安倍内閣では、少子化対策・子育て支援担当として、内閣官房参与も務める。「一般社団法人 吉村やすのり 生命の環境研究所」を主宰。

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