それではもし産後うつを発症してしまったらどうすればいいのでしょうか。ここからは対処法、治療法について学んでいきましょう。
最初にすべきは環境を整えること
産後うつの治療として最初に行われるのは「環境調整」です。これはママがゆっくり休める環境を整えるということ。睡眠不足が重なって無理をしているなら、夜中はパパがミルクをあげるようにするとか、時々おばあちゃんに来てもらうとか。それが無理なら昼間赤ちゃんが寝ている間にママも一緒に眠るようにしましょう。
どうしても家族のサポートが得られない状況であれば、自治体などの産後ケア事業を利用して、からだを休めるようにするといいでしょう。睡眠はこころの健康にとても大切ですよ。
ひとりで抱え込まないことが大切
つらい気持ちをパートナーや家族、友達に話すことでよくなっていくこともあります。家族や周りの人も一緒に赤ちゃんを育てていくような環境があることで産後うつから立ち直れるママはたくさんいます。とにかくひとりで抱え込まないでください。
環境調整がうまくいく第一段階は、パパや周りの人が産後のママの大変さを理解する気持ちを持っていること。そういう気持ちを持ってママに接していれば、様子がおかしくなったのも気づくはずです。
「しっかりしなきゃ!」は逆効果
もしパパや周りの人は「子どもができたんだから、ママがしっかりしなきゃダメだよ」なんていう態度で接していたら、ママはどんどん追い込まれてしまいます。赤ちゃんを迎えて新しい生活を始めたママをみんなでいたわって応援してください。
環境を整えても改善しない場合は?
そういうときは、助産師さんや保健師さんに気軽に相談してください。症状や生活状況に合わせてどんな治療が必要かなどのアドバイスを受けることができます。ある程度症状が重いようであれば、心療内科などを受診しましょう。程度が重い産後うつでも、薬やカウンセリングで比較的スムーズに回復することも多いので、こじらせる前に、早めに対処することが大切です。
症状が重い場合は?
症状がある程度重い場合は抗うつ剤などを飲んでもらったほうが良いこともあります。ちなみに母乳育児の間は赤ちゃんに移行するから、薬は絶対に飲めないと思い込んでいるママもいますが、そんなことはありません。今は必要があれば飲んでもらったほうが良いという考え方が主流です。
薬を飲んで産後うつから少しでも早く回復して赤ちゃんに元気に向き合えるようになることが赤ちゃんにとっても良いことですし、ママにとっても症状に長く苦しむより良いです。
メンタルヘルスのリスクは多かれ少なかれ誰にでもあり、特に産後は女性ホルモンの変化でこころが不安定になりやすい時期。産後のママが「ちょっと変かな」と感じることがあれば、ためらわずに助産師さん、保健師さん、産科や小児科の先生に相談してみてください。
無理せず、パートナーにせよ、家族にせよ、もしくは行政サービスを利用するにせよ「誰か」に甘えることが、ママにとってもパパや家族にとっても、なにより小さな赤ちゃんにとっても、とても大切なことなのです。
<参考情報>
妊娠・出産に伴ううつ病の症状と治療
(厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/heart/k-03-001.html