接種スケジュールについて 赤ちゃんの予防接種【後編】
~赤ちゃんが生まれたらやるべきこと(8)~

2023.10.31

ミキハウス編集部

生後2か月を超えた頃から、赤ちゃんの予防接種ははじまります。1歳の誕生日までに接種する回数は15回以上。それだけ多くの予防接種を受けるためには、しっかりとスケジュールを組む必要があります。そこで本記事では接種スケジュールの立て方、予防接種の種類や、接種前日までにしておきたいこと、終わった後に気をつけておきたいことなどをまとめます。

 

 

どうやってスケジュールを立てればいいの?

どうやってスケジュールを立てればいいの?

ワクチンによって、接種する年齢や回数、空けなければならない間隔が違いますので、しっかり接種スケジュールを立てましょう。

まずは、「予診票(接種券)」が手元に届いているか確認を。ない場合には、お住まいの自治体の予防接種担当窓口に問い合わせてください。

0歳のワクチンは種類、接種回数が多いので、できるだけ早く接種することが大切です。以下、接種の進め方について5つのポイントを簡単にご紹介します。

予防接種スケジュール 5つのポイント

1 「予防接種デビューは生後2か月の誕生日」

初めての予防接種は生後2か月の誕生日に受けられるのが望ましいです。この時期から接種をはじめることで、複数のワクチンをタイミングよく確実に受けていくことができます。この時、受けたいのは細菌性髄膜炎予防のヒブと小児用肺炎球菌、ロタウイルス、B型肝炎ワクチン。これらは同時接種で受けましょう。

2 流行しているVPD、重症になりやすいVPDを優先する

地域で流行しているVPDや重症になりやすいVPDがあれば、まずその予防接種を優先するのがよいでしょう。場合によっては、麻しんなど通常の接種年齢になる前から受けた方がいい場合もあるので、かかりつけの小児科医に相談してください。なお実際の接種時期は、自治体の方針などの影響も受けますので、そこもかかりつけ医と相談の上、スケジュールを立てましょう。

3 接種年齢(月齢)になったらすぐに受ける

予防接種は、それぞれに接種できる月齢や年齢が決まっていますが、「受けられる時期が来たら、すぐ受ける」ことが基本です。定期接種の接種期間を「これからいつでも接種できる、この期間内に接種すればいい」と考えてない方がいいでしょう。

4 効率的・効果的な受け方を考えて、同時接種を取り入れる

同時に2~6種類のワクチンを受ける同時接種なら、1つずつ免疫(抗体)を獲得するよりもずっと早く確実に子どもたちをVPDから守れます。同時接種は医療機関に行く回数が減る意味でも、保護者にとってもメリット。ですが、なにより子どもにとってのメリットの方が大きいといえます。

5 わからない時は早目に医師に相談する

赤ちゃんはいつも体調がいいとは限りません。よく風邪も引くし、アレルギー持ちの子もいる。そんなときにワクチンを受けてもいいのかわからない…。そんなときは、ひとりで悩むよりかかりつけの小児科医に早めに相談してください。お子さんのことも、予防接種のこともよく知っているので的確なアドバイスをもらえますよ。

〈▲ 日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール(2023年4月改訂版)より〉

〈▲ 日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール(2023年4月改訂版)より〉

 

1歳までにどんな予防接種があるの?

1歳までにどんな予防接種を受けるの?

赤ちゃんが1歳までに受けておきたい予防接種は、ヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、ロタウィルスワクチン、四種混合ワクチン、BCGワクチンです。

BCGワクチン以外は、それぞれに2~3回に分けての接種が必要なので、生後2か月から1歳になるまでに合計15回(ロタウィルスワクチンの種類によっては14回)の予防接種を受けることになります。

Hib(ヒブ)ワクチン/定期接種

Hibは口や鼻などから吸い込むことで感染し、肺炎、細菌性髄膜炎(ずいまくえん)などを引き起こします。細菌性髄膜炎は命にかかわる病気ですが、これにかかる子どもの半数が0歳児。その原因の6割がHib感染症です。Hibワクチンは生後2か月から6か月までに合計3回、1歳になったら4回目を接種します。

小児の肺炎球菌ワクチン/定期接種

早期診断が難しく重症化しやすい細菌性髄膜炎のもう1つの原因は、肺炎球菌感染症です。小児の肺炎球菌ワクチンは生後2か月から6か月までに合計3回、1歳を過ぎたら4回目を接種します。

B型肝炎ワクチン/任意接種

感染力が非常に強く、肝硬変や肝臓がんの原因となるB型肝炎ウィルスを予防します。生後すぐから4か月までの間に2回、6か月から1歳までの間に3回目を接種します。

ロタウィルスワクチン/任意接種

ロタウィルスが原因となる嘔吐下痢症を予防します。生後2か月から4週間隔で2回接種するものと3回接種するものの2種類があり、どちらも生後3か月半過ぎまでに1回目を受けなければなりません。ロタウィルスワクチンは注射ではなく、飲むタイプの経口ワクチンです。

四種混合(DPT-IPV)ワクチン/定期接種

乳幼児が感染しやすく、重症化しやすいジフテリア(Diphtheria)、百日咳(Pertussis)、破傷風(Tetanus)とポリオ(IPV=不活化ポリオ)を予防する混合ワクチンです。生後3か月から9か月までの間に3回接種し、3回目が終わってから半年から1年ぐらいの間に4回目を接種します。

BCGワクチン/定期接種

結核を予防します。生後5か月から8か月までに1回接種します。スタンプ式の接種法です。

0歳で受けるべきワクチンが接種できないまま1歳を超えた場合には、それぞれの接種間隔を参考に、かかりつけの医師と相談の上、接種しましょう。

 

1歳から受けられる予防接種は?

1歳から受けられる予防接種は?

1歳の誕生日を迎えたら、早めに麻しん、風しん(以下、MR)ワクチン、おたふくかぜ、水痘(すいとう/みずぼうそう)の予防接種を受けましょう。

MRワクチン/定期接種

感染力が強い麻しんと風しんを予防します。通常は1歳になったら1回目を接種しますが、流行している時には生後6か月から任意接種で受けることもできます。2回目は小学校入学の前年です。

おたふくかぜワクチン/任意接種

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)は無菌性髄膜炎などの原因にもなります。1歳になったらすぐに接種したいワクチンの一つです。

水痘ワクチン/定期接種

毎年20万人以上の子どもが感染しているみずぼうそう。成人してからかかると、帯状疱疹を引き起こす原因にもなります。1回目を接種して3か月経ったら、2回目を受けることができます。

 

前日までにしておきたいこと、終わってから気をつけたいこと

予防接種の前日までにしておきたいこと、終わってから気をつけたいこと

接種する前日、当日、その後に気をつけたいことをまとめました。ぜひ、参考にしてください。

【予防接種の前日までにしておくこと】

・接種するワクチンはどんな病気を予防するのか、予防接種のお知らせなどに目を通しておきましょう。
・接種後に起こるかもしれないからだの変化(副反応)についても知っておきましょう。
・予診票(接種券)、小児科医院の診察券、母子健康手帳と着替え、おむつ、タオル、おもちゃなどを用意します。
・予診票の記入も忘れずに。体温と保護者のサインは接種当日にします。

【当日、予防接種に行く前に】

・赤ちゃんは機嫌がいいか、食欲があるか、うんちの状態はいいかなど、様子を確認して体温を測ります。風邪気味でも37.5度以上の熱がなければ接種できることもあります。小児科医に相談してみましょう。
・授乳や食事は30分前にはすませておきましょう。
・脱ぎ着しやすい服を着せましょう。

【予防接種の会場で】

・いつもと違う病院の雰囲気や他の子の泣き声に赤ちゃんも緊張しています。しっかり抱っこして安心させてあげましょう。
・注射が痛くて泣いてしまうのは仕方がありませんから、後から頑張った赤ちゃんを褒めてあげましょう。予防接種や注射はこれからも何度も受けなくてはならないもの。できるだけ苦手意識を植えつけないようにできるといいですね。

【予防接種を受けた後】

・副反応が起きることがあるかもしれません。とくに接種後30分は赤ちゃんの様子に注意し、もしもからだに変化があるようなら、すぐに医師に連絡がとれるようにしておきましょう。
・接種後1時間すぎて体調に変化がなければ、普段どおりの生活ができます。当日の入浴も大丈夫。ただし、からだを洗う時は接種部分をこすらないように気を付けて。

まだ小さい赤ちゃんの体に注射をするのは、痛々しくてかわいそうに思うかもしれません。けれど、これも赤ちゃんの健康を考えての予防手段だと考え、体調をみながら受けさせてあげるといいですね。

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