“元祖イクメン”やすのり先生のなんでも相談室 Vol.2 
妊活中のお悩み(男性編)にお答えします!

「子どもが欲しい」という思いは、男性にも芽生えるもの。そして、なかなか妊娠に至らない場合、頭の中に「?」がたくさん浮かんでいる人もいるでしょう。長年産婦人科医として、多くのお産に立ち会い、また不妊治療にかかわってきた、「やすのり先生」こと、慶應義塾大学医学部名誉教授の吉村泰典医師に、男性の妊活についての悩みに答えてもらいました!

Q1:女性には「卵子老化」の問題がありますが、男性にも妊娠しにくくなる年齢はあるのでしょうか?(34歳男性)

A1:昔は、男性にとって年齢と妊娠はあまり関係ないと思われていたのですが、最近では50歳を超えると妊娠率が悪くなると言われています。しかし、これは確率がゼロになるということではありません。精子の数が減ったり、運動性が低くなったり、精子もエイジングするという意味です。まったく妊娠に至らないということではありません。

 

Q2:3か月ほど妊活中です。性生活の間は何日間か空けたほうがいいのでしょうか?それとも毎日でもよいのでしょうか?(37歳男性)

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A2:何日か空けたほうがいいと思っている方は多いですよね。私も医師になって間もない頃は、患者さんが精液検査を行うときに、4~5日禁欲してから来てくださいと言っていました。けれど、精液は4~5日ためてもそんなに変わるものではないことがわかってきて、今では、毎日セックスしてもいいですよと申し上げています。毎日でも精液が薄くなるということはないんです。

精子は70~80日というスパンで常に新しいものがつくられているので、心配はいりません。「ためておいたほうがいいのでは?」という方には、ためすぎはよくないですとお話しします。検査に最適なのは、1~2日禁欲したものと言われています。逆に7日以上空いてしまうと、精液の質が悪くなってしまいます。

ちなみに、「性行為に時間をかけたほうがいいですか? かけないほうがいいですか?」と患者さんから質問されたこともありますが、答えは「どちらでもいい」です(笑)。

Q3:男性が疲れているときに、性生活をもったほうが妊娠しやすいという話を聞きました。たとえば、徹夜明けで帰ったときがいちばんよいということなのでしょうか?(28歳男性)

A3:これはまったく正しくありません。疲労が蓄積しているときはかえって射精がうまくできないケースもあります。体調はいいほうがよいでしょう。

疲れているときのほうが生命の危機を感じるから、子孫を残そうとするのでは?と言う人もいますよね。でも、受精というのは生命現象ですから、そういったロマンティックなことではないんです(笑)。

「お酒を飲んだ後に性生活をもったから妊娠した」と言う人もいますが、これもまったく根拠がありません。

 

Q4:妊活歴1年です。最近、育毛剤を使っていることが妊娠しないことに影響しているのかもしれないと心配しています。ちなみに性生活はもてています(41歳男性)

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A4:性行為を行えているのであれば、育毛剤の影響はないと思います。育毛剤に男性ホルモンを抑制する成分が入っているものの多いことは事実ですが、妊娠できないほどの悪影響があるとは考えられません。それほど神経質になる必要はないです。

この方は妊活を行って1年ということですね。それなら、一度病院に行って、精液検査をしてみてはいかがでしょうか? 精子の運動率や精液中の精子濃度を調べたりするとよいと思います。

男性の体は女性と違って、シンプルにできているので、検査は精液検査くらいで、あとは性行為ができるかを問診する程度です。

また、自覚がなくても症状が出ていることが病院でわかるケースもあります。たとえば、「一部逆行性射精」は、精液が出ているという感じはするけれど、外に出ていっていない。つまり、腟内に精子が送り込まれておらず、膀胱の中に射精してしまっているという状況なのです。

こういう場合は、人工授精によって妊娠を可能にさせることもできます。いずれにせよ、悲観的にならず一度受診してみることをおすすめします。

Q5:妊活を始めて半年。排卵日を妻から教えられ「今晩はよろしくね」と言われるのが苦痛になってきました。先日はうまく性行為ができなくて。どうしたらいいのでしょうか?(34歳男性)

A5:一時的に性行為ができなくなることは、比較的珍しいことではありません。男性の場合、心的ストレスが非常に大きくなるとこのような状況に陥ります。女性の何気ない一言に傷ついたり、「今日は排卵日です」と言われたりすることがプレッシャーになってしまうのです。

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問題を解決するためにバイアグラなどの薬を使う方法がありますが、カウンセリングを受けるのも一考の価値があるでしょう。

こういった場合に限らず、しばらく妊活を試みてうまくいかないと、夫婦でお互いを傷つけあうこともあるかもしれません。けれど、二人が思いやりをもつことで、自然と元に戻っていく方も大勢いらっしゃいます。負のスパイラルから抜け出すには、まずはパートナーと問題点を話し合うこと。そして、よりよい道を二人で進んでいくのが望ましいでしょう。時には医師やカウンセラーの力を借りることも有効だと思いますよ。

――なるほど。男性もクリニックに検査や相談に行くことが大切ですね。女性とは違う、別の悩みが男性にはあることがよくわかりました。先生、またいろいろと教えてください!

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