はじめての妊娠は、誰にとっても不安なもの。わからないことばかりなのに、産婦人科に定期検査に行ったときには、十分に質問できないこともあるでしょう。
そこで、長年産婦人科医として多くの妊婦を指導し、約5000例のお産に立ち会ってきた、慶應義塾大学医学部名誉教授の吉村泰典医師に、妊娠にまつわる疑問をいろいろとお聞きしました! 今回は女性編です。
Q.つわりがひどくて痩せてしまいました。もともとやせ気味なのにさらに体重が減ってしまい、心配です。どうすればいいでしょうか?
つわりというのは、妊娠2か月から3か月にかけて起こるもので、難しい言い方をすると「妊娠悪阻(にんしんおそ)」です。食べたものを吐いたり、食べられなくなったり、生唾が出たりといった症状があります。これは誰にでも大なり小なり起こるもの。一人目の子のときにつわりがひどくても、二人目のときには軽いということもあります。
妊娠というのは非常に不思議な現象で、お母さんにとって半分は自分のものだけれど、半分は他人、お父さんからきたものです。つまり、お母さんにとって赤ちゃんは異物でもあるわけで、この免疫拒絶の表れとしてつわりという症状が起こると考えられています。しかし、そう推測されているだけで、つわりが何によって起こるかはいまだもって解明されていません。
つわりで食べられないときは、無理して食べることはありません。ただ、水分とビタミンを補うことを忘れずに。とくに、ビタミンB1を補わないと、脳炎の一種であるウェルニッケ脳症になることがあるので、注意が必要です。
入院をするような重いつわりを経験する人は、妊婦さん10人のうちで1人くらい。つわりは通常は3か月ぐらいで終わりますが、それ以上長く続く場合やひどい時には、医師にすぐに相談するとよいでしょう