はじめて出産する場合は、妊娠した本人でさえわからないことが多いのに、それをサポートする夫の皆さんは、戸惑いばかりの日々ではないでしょうか。
長年産婦人科医として、多くの妊婦を指導し、約5000例のお産に立ち会ってきた、慶應義塾大学医学部名誉教授の吉村泰典医師に、パートナーである男性の立場から出た妊娠にまつわる疑問をぶつけてみました。ぜひ、参考にしてみてください!
Q.妊娠から出産までの時間を“十月十日(とつきとおか)”と言いますが、妻の妊娠週数と出産予定日を聞いていると、なんだか違うような……。どのような計算をしているのでしょうか。
いろいろと調べてみたのですが、これは何の根拠もありません。どうして言われはじめたのか不思議なくらいです。
最終月経日を0日とし、妊娠期間は280日間として、出産予定日を計算します。実をいうとこれは、月経が28日周期の人を基準に決めているのですが、排卵が14日目に起こっていることになります。ですから、本当の妊娠期間は266日です。
十月十日の意味を“数え”だとすると、十月は9か月ですよね。だから、9か月10日となります。1か月を30日として、30日×9=270日。それに10日を足して、280日。こういう意味だという人もいます。
ただ、28日周期ですよね。そうやって十月を28日で考え、同じような計算をすると短い。十月を10か月分、つまり28日×10にすると、これはこれで長すぎる。よくわかりませんね。
ちょっと話がそれるかもしれませんが、おもしろいことを教えてあげましょう。さあ、問題です。28日周期の人だと、最終月経が1月10日の場合、赤ちゃんはいつ生まれるでしょうか?
ややこしい計算に思えるでしょうが、最終月経に9を足して、日にちに7を足せばいいんです。だから、この場合10月17日です。これはドイツの産婦人科医・ネーゲレが考案した概算法です。35日周期の人なら1週間長くなります。