連載「高橋たかお先生のなんでも相談室」 
発達障害の子どもとの「向き合い方」

子どもと大人では目立つ症状が異なる

高橋先生:発達障害は、大きくなるにつれて症状が変わっていくものです。たとえばADHD(注意欠陥・多動性障害)は、小さいときは落ち着きのなさが目立ちます。でも、大人になっても甚だしく落ちつきがない人って、あまりいないですよね? 会議中に歩き出すとか、本棚を階段に見立てて登るとか、大人はしません。だけど、小学生だと、何かのはずみで物を投げたり、授業中に歩き回ったりするわけです。つまり衝動性、多動性は年齢を重ねるにつれ落ち着いていきます。

K:大人になれば症状が軽くなるということですか?

高橋先生:それともちょっと違います。大人になると、環境の変化によって、適応することがさらに難しくなっていく場合もあるからです。小学生のうちは忘れてはいけないものはそれほど多くないですね。宿題くらいでしょうか。でも大人になるとたくさんある。うっかりミスなんて、小学生のころは気にも留めないことも多いけれど、社会に出て仕事をするようになったらそういうわけにはいきませんからね。

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K:大人になるにつれ環境や立場が変わり、逆に目立つようになってくる症状もあるということなんですね。私の甥は現在小学3年なんですが、以前よりずいぶん落ち着いてきて、本人の中で折り合いをつけていっているのだなと感じます。自分の経験値が上がって、その症状が表れないように努めているのかもしれません。

高橋先生:そういうことでしょうね。甥っ子さんは、良い友だちやご両親に恵まれたのが良かったのかもしれませんね。人間関係に恵まれると、ADHDの傾向がある人も、自閉傾向のある人も、驚くほどの成功を手に入れることが珍しくないんですよ。

K:そうなんですね! まわりの理解と愛情が大切……って、すべての子どもに言えることかもしれませんが、発達障害の子どもには、より寄り添う気持ちが必要ということですね。

高橋先生:社会的に成功するかどうかは、まわりの人間の力が大きいんですよ。特に、お母さん、お父さん。ご両親や兄弟がどう接するかが、とても大切なことなのです。

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