政府が推し進める働き方改革、その一環として推進されているもののひとつに「テレワーク」というものがあります。これは「ICT(情報通信技術)の活用による場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」を指す言葉で、簡単に言うと、モバイルパソコンやスマートフォンなどがあれば、いつでもどこでも自由に働くことはできるから、みんなもっとそういう働き方をしましょう、ということ。
そんなテレワークの利用促進と普及を目指して、総務省など中央官庁は、東京都や経済団体と連携し、2017年7月24日(月)を「テレワーク・デイ」と定め、参加企業を募って、一斉実施を呼びかけているそう。そこで今回は、「テレワーク・デイ」を前に、働くママ、パパの「テレワークと子育て」について考えてみました。
「テレワーク」という新しい働き方
モバイルパソコンやスマートデバイスとインターネット環境があれば、どこにいても会社と同じように仕事ができるというテレワーク。日本でも、一億総活躍社会を目指す働き方改革の中で、注目されています。
まず総務省情報流通局情報流通振興課の橋本桂樹さんに、日本の「テレワーク事情」についてお話を伺いました。
「少子高齢化が進む日本では、労働力不足が深刻な問題になりつつあるという現実があります。そんな中、子育てや介護を行っている人、高齢者や障害を持つ人でも、仕事がしやすい労働環境は今後より必要となってきます。つまり今まで仕事がしづらかった方々も“活躍”していただくべく、労働環境を整理していく必要があるだろうということで、より自由に働けるテレワークを推し進めようというわけです。テレワークというと、第一に思い浮かぶのが在宅勤務だと思います。ただ、実際はそれだけでなく、サテライトオフィスでの勤務や外出先でのモバイルワークなどもテレワークに当たります」(橋本さん)
労働人口の減少を防ぐための策として導入されたというテレワークですが、結果として働き方が自由になることで、子育てなど家の仕事や家族との時間に重点を置くことが可能になるだろうと橋本さんは言います。
一方、テレワークの導入状況についてはまだまだのようです。
「国内での普及率ですが、従業員数100人以上の企業の場合、2015年度末時点の調査で16.2%程度にとどまっています。しかも導入はしていても、制度を利用する従業員の割合は5%未満という企業が41.7%もあります。つまり導入はしているけれど、実際に利用している従業員は相当少ないことになります」(橋本さん)
現状は普及しているとは言い難いテレワーク。米国やオランダなど欧米諸国では労働人口の25%を超える人がテレワークをしているとのデータもあるそうですが…(※参考資料 ①)。
もっとも日本でも、将来的にはもっと増えていくことになるだろうと見られているようです。
「現在導入している企業の8割が、テレワークはなんらかの効果があったと答えています。こうしたことを考えると、今後この新しい働き方が浸透し、拡大していく可能性は大きいと思います。我々が目標にしているのは、2020年までにテレワークの導入率を全体の30%ぐらいまでに拡大すること。この数字はあながち無理なことではないのかなと思ってはいます」(橋本さん)
なお総務省がまとめた平成27年度版情報通信白書によると、子育て世代の女性の離職理由の7割が「結婚・出産・育児のため」であり、テレワークの制度を利用したいと答えた30代女性の半数が、その理由に「子育てと自身の仕事の両立」を挙げています。(※参考資料 ②)
「子育て中の女性はぜひ、テレワークを活用してほしいですね。たとえば出産した女性が産休、育休から職場復帰する時って、子どもを保育園に入れて、親は久しぶりに仕事を再開する。親子ともども生活が急変することになるわけですよね。そうなると突然、フルタイムで復帰するより、最初の1か月ぐらいは、出社は週に2、3日程度にして、あとは在宅ワークにする。仕事、育児、家事に加えて、通勤でも時間とエネルギーが奪われていくのは本当大変なことだと思うんです。だから慣れるまで、テレワークをうまく利用して新しい生活に段々と慣れてきたら、会社での仕事量を増やしていく…みたいなこともひとつのやり方としてはありますよね」(橋本さん)