離乳食で一番大切なことは、赤ちゃんが「食事って楽しい!食べること好き!」になることだとわたしは考えています。では、どうしたら好きになってくれるのでしょうか? まずは、大人たちの食卓が「楽しそう」であること、視力の弱い赤ちゃんの興味関心を引く「彩り豊か」であることだと思います。赤ちゃんはパパとママの顔色をよく見ていて、まだ食事はできない赤ちゃんも、家族の食卓の近くにいて、その様子を感じています。「ごはんの時間って楽しそう…」と思わせることがとても大切なのです。
そして次に大切なことは、それぞれの赤ちゃんの口腔環境の発育に合わせた離乳食を食べさせてあげること。離乳食の進め方は、月齢よりも赤ちゃんの口腔環境の発育に合わせることがポイントなのです。 赤ちゃんがパクンと口にする食べものの形状や食感は、食事の好き嫌いを決める大切なポイントになります。とくに、「ゴックン」「モグモグ」「カミカミ」「パクパク」に代表される、口腔環境の発育にそった食事を心がけてあげることが食事を美味しく食べられるポイントになります。
おっぱいを飲むために必要な能力である哺乳反射は、生後6〜7ヶ月頃に消えていくと言われますが、残っているうちは赤ちゃんの意識に関係なく、口から食べ物を出してしまいますので、ママの悩みの原因になります。咀嚼する力が弱いときにレタスやワカメなどの口の中にペットリはり付くものを与えてしまったり、ブロッコリーのような特殊な食感があるものを与えると、口の中に違和感を覚えて「食べるのキラーイ」となってしまうことが多いのです。
歯が生えていなければ食べものを噛み砕いたり、消化できません。もし、食べてくれないな〜という時は、食材の特徴やすり潰し加減などの食感が嫌なのかな? と考えてみましょう。たとえば、「裏ごし」の方法を変えてみたり、食材のゆで時間を変えてみたりすることで、その子にとって「おいしい」と感じる食感になり、たくさん食べてくれるようになるかもしれませんよ(おっぱいを飲んでいるうちは食欲が乏しい子も少なくないようなので、「あまり食べない=食感が嫌」とは限りません)。
ちなみに日本小児歯科学会によると、日本人の赤ちゃんは欧米の赤ちゃんに比べて上下の歯が生え揃うのが白人の赤ちゃんよりも平均して6か月ほど遅いことが報告されています。このため、日本人の赤ちゃんが私たち大人と同じ咀嚼機能を体得するのは3歳すぎと考える必要があり、離乳食から幼児食への移行は急がないようにしましょう。お餅やタコなどの咀嚼しづらい食材は3歳までは控えて、離乳食スタート期から、月齢よりもわが子の発育を大切に考えてあげてください。 本コンテンツでは、記事と動画で、お料理初挑戦のパパでも上手につくっていただけるように、おかゆを炊くときの火加減や野菜の裏ごしの手順、使う道具のことなど、離乳食づくり基本の「き」をお届けしていきます。