体型戻しの効果(特に下半身まわり)を謳われることの多い骨盤ベルト。吉村先生は産前の使用がママのからだを楽にするという点にも着目しています。
「骨盤を支えれば、大きくなったおなかが安定するので妊婦は楽になるもの。簡単に着けられるベルトや妊婦用ボトム(妊婦帯)も、きちっと着ければ、前かがみの姿勢が矯正されて、妊婦が動きやすくなるんですよ。僕が一番いいと思うのはさらしの腹帯ですが、巻くのも洗濯するのも大変だから、今のプレママに使うことをオススメするのは難しいとは思いますが(苦笑)」(吉村先生)
産後は骨盤の開きを戻すような体操、さらには適度な運動で腹筋まわりを鍛えれば、骨盤のゆるんだ骨盤を締められると吉村先生。
また、母乳育児にともなう胸の“崩れ”についてもこう言います。
「授乳すれば胸の形が崩れることもあります。僕は、それはママとしての“勲章”だと思います。母乳が出る、赤ちゃんもそれを求めているなら、いっぱい母乳をあげてください。その結果、胸の形が崩れた場合は、下着などをうまく活用するのも良いですね」(吉村先生)
今では妊娠中や産後のブラにもいろいろなタイプのものがあります。今の自分には授乳しやすいものが必要か、すっきりと形を整えるものがいいのか、生活やからだの状態に合わせて選ぶといいようですね。
(第3部 ワコールさんに聞きました 下着ひとつでこんなに違うの? 産前産後のママを助ける「やさしい下着」【PR】)
最後に吉村先生が教えてくださったのは、「充分な睡眠と栄養は産前産後のママの健康ばかりでなく、体型の戻りにもかかわってくる」ということ。初めての赤ちゃんのお世話で、毎日大変だと思いますが、「できるかぎり睡眠を摂り、しっかり食事をする」そういう毎日を送っていれば、自然と筋力が復活し、骨格も戻りやすくなるようです。
特に産後は、昼夜なく赤ちゃんのお世話をするママが睡眠不足にならないように、パパは積極的にサポートしてあげたいもの。パパだって、ママがいつも疲れていて、その上に体型の悩みまで抱えてしまうのは心配なはず。妊娠前から二人で赤ちゃんが生まれた後の役割分担を話し合っておきたいものですね。
さて、4回に分けてお送りした特集「産前産後のママのからだ」。体型についてプレママやママが持つ不安や悩みに何らかの答えを見つけたいと、さまざまな角度から、各専門家にお話を伺い、先輩ママたちの体験談も紹介してまいりましたが、みなさんのお役に立てたでしょうか。
ミキハウス「出産準備サイト」では、出産や子育てに奔走しているみなさんの気持ちに寄り添った記事をこれからもお届けしていきます。次回の特集もお楽しみに!
※1 平成29年度国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000351576.pdf
※2 日本人の食事摂取基準(2015年度版)策定検討会報告書 (厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000041824.html
【プロフィール】
吉村泰典(よしむら・やすのり)
1949年生まれ。慶應義塾大学名誉教授 産婦人科医。日本産科婦人科学会理事長、日本生殖医学会理事長を歴任した不妊治療のスペシャリスト。これまで2000人以上の不妊症、3000人以上の分娩など、数多くの患者の治療にあたる一方、第2次~第4次安倍内閣では、少子化対策・子育て支援担当として、内閣官房参与も務める。「一般社団法人 吉村やすのり 生命の環境研究所」を主宰。