子宮筋腫の治療は腫瘍の数や大きさ、できた場所によって大きく違います。また、子宮筋腫が見つかったからと言って、妊娠ができなくなるというわけでありません。
「2~3㎝の腫瘍があっても気づかないうちに妊娠していて、妊婦検診で腫瘍が見つかるということも少なくないし、経過を見みながらそのまま無事に出産までこぎつける人もたくさんいらっしゃいます。つまり、子宮筋腫=妊娠・出産ができない、というわけではありません。30代で3割の女性がなる病気なので、『誰でもなりうる病気』とも言えます。基本的に命にかかわる病気ではないのですが、腫瘍が見つかったら最良の治療法をお医者さんと相談して決めてもらえたらと思います」(吉村先生)
仮に子宮筋腫が見つかった時に妊娠を希望しない場合は、「ホルモン剤でコントロールして腫瘍を大きくしないという治療法も考えられます」と吉村先生。
「妊娠を望む女性にとって子宮は失うことのできない体の一部。どうにかして腫瘍だけを取り除く方法を医師は模索します。なかには開腹手術でなくては取れない筋腫もありますが、通常は腹腔鏡手術で取り除けます。しかし、手術した場合はその後の出産が帝王切開になってしまう可能性が高くなるという問題もある。なので大切なのは、いかに早期に発見するかということ。小さな子宮筋腫は症状が出にくいので、早期発見のためには検診を受けるしかありません。経腟の超音波ならすぐに腫瘍を見つけることができますから、ガン検診の時に見てもらうといいでしょう。年に1回が理想ですが、最低2年に1回は定期的に検診を受けていただきたいです」(吉村先生)
子宮筋腫は予防法がなく、誰にでも起こりうる病気。だからこそ、早めに対処することが大切なんですね。続く後編では、最近増加しているという「子宮内膜症」について教えていただきます。
〈画像提供〉
(※)慶應義塾大学病院KOMPAS: http://kompas.hosp.keio.ac.jp/contents/000044.html
【プロフィール】
吉村泰典(よしむら・やすのり)
1949年生まれ。慶應義塾大学名誉教授 産婦人科医。日本産科婦人科学会理事長、日本生殖医学会理事長を歴任した不妊治療のスペシャリスト。これまで2000人以上の不妊症、3000人以上の分娩など、数多くの患者の治療にあたる一方、第2次~第4次安倍内閣では、少子化対策・子育て支援担当として、内閣官房参与も務める。「一般社団法人 吉村やすのり 生命の環境研究所」を主宰。