キラキラネームとは、それまでの名づけとは違う感覚でつけられた、一見変わった名前のことを指します。平成時代に生まれ、そして定着していったキラキラネーム。東京・世田谷区でひと月に20件以上の赤ちゃん訪問をしているという田中先生は「その時々のはやりの漢字や音の傾向はありますが、最近のママ・パパはキラキラネームを意識しているというより、自分たちがつけたい名前を自由に選んでいるのではないでしょうか」と言います。
例えば、「陽」と書いて「はる」と読む名前は一昔前では考えられませんでしたが、今や普通の読み方になっている、というように。
「確かに漢字の読みが難しい名前は多くなっています。特に自身も平成生まれという若いママ・パパは、漢字の読みにも凝って名前を考える傾向があるようです。これには2004年(平成16年)以降、子どもの名前に使える人名用漢字が増えたことも影響していると思います」(田中先生)
《キラキラネームに抵抗感なしが5割弱》
キラキラネームに対する見方を尋ねると、「とても好意的」と「やや好意的」、「好意的でも批判的でもない」と抵抗感のないママ・パパは48.4%と半数近くにのぼります。「やや批判的」と「とても批判的」は51.7%と半数を超えていますが、どんな名前をキラキラネームと呼ぶのかについての主観の違いもありそうです。ママ・パパの名づけに対する新しい感覚、名づけの多様性はキラキラネームの「定義」そのものを変えつつあるのかもしれません。
なお、キラキラネームについて「とても好意的」と答えた人のコメントには、「今っぽい」、「親が一生懸命考えたのだからいいと思う」という意見が目立ちました。「やや好意的」な声の中には「旦那さんもキラキラネームだから」(23歳ママ/第1子0歳、女の子)というものもあり、初期のキラキラネーム世代がすでにママ・パパになっていることが分かります。「好意的でも批判的でもない」を選んだ人の多くは「親の自由」「愛情がこもっていればいい」と答えています。「やや批判的」、「とても批判的」で多いのは、「親のエゴではないか」「読めない名前は苦労しそう」という意見です。
《身近なキラキラネーム》
ママ・パパ世代にとってキラキラネームはどれくらい身近なものなのでしょうか。「自分以外の誰かに対してキラキラネームだと思ったことはありますか」の問いに対して思ったことがあると答えたのは67.6%。キラキラネームはやはり特別なものではなくなっているようです。
《キラキラネームの人に聞きました》
それでは、自分の名前をキラキラネームと考えている人はどれくらいいるのでしょうか。「自分の名前を『キラキラネーム』だと思いますか」という問いに対して、95.9%の人が「自分でそう思わないし、人から言われたこともない」と答えています。回答してくれた5084人のうち、自分の名前をキラキラネームだと思っている人はわずか45人で、人から言われたことがある人も175人という結果です。
そこで自分はキラキラネームだと思う45人に、そう思うようになった年齢を尋ねました。小学生の頃にはすでに自覚があった人が40.0%いるものの、中学生以降と答えた人も37.7%と多く、自分にとっては当たり前だった名前でも成長するにつれて人との違いに気がつく様子がうかがえます。
自分の名前がキラキラネームだと思い始めたきっかけを具体的に書き出してもらったところ、「漢字で絶対に正しい読み方をしてもらったことがないから」(29歳ママ/第1子0歳、女の子)、「アニメキャラと同じ名前で保育園の時にからかわれたので」(27歳ママ/第1子1歳、男の子)、「同じ名前の人がほかにいないから」(31歳ママ/第1子0歳、女の子)などがありました。
また、「キラキラネームで良かったこと」としては、「すぐに名前を覚えてもらえる。会話の糸口になりやすい」(28歳ママ/第1子2歳、女の子)「かわいい名前だねと言ってもらえます。あだ名も気に入っています。珍しいので他の人とかぶったことがないです。おそらく世界に1人です」(28歳ママ/第1子0歳、女の子)というコメントが寄せられました。
反対に「キラキラネームで悪かったこと」という問いには、「漢字の説明をするのが恥ずかしい」(31歳ママ/第1子0歳、男の子)、「呼び間違え」(26歳ママ/第1子4歳、男の子)があげられています。
キラキラネームの人たちは漢字の読みや音の響きで嫌な思いをすることもあるけれど、人と違う名前はコミュニケーションツールとしても使え、自慢にもなることがあるというところでしょうか。