アトピー性皮膚炎から始まる“アレルギーマーチ”からわが子を守る方法

2025.03.06

ミキハウス編集部

アトピー性皮膚炎は序章だった? そこからはじまる“アレルギーマーチ”とは

Cute little baby feet

子どものアレルギー疾患はアトピー性皮膚炎から始まり、その後、食物アレルギーを発症し、幼児期には喘息やアレルギー性鼻炎になってしまうという具合に変化していくというデータがあります。これが“アレルギーマーチ”と呼ばれるものです。山本先生も「アトピー性皮膚炎を発症した子は他のアレルギー疾患も出てくるケースが多い」と感じているそう。

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「すでに当センターのスタッフが論文を発表していますが、生後1~4か月でアトピー性皮膚炎を発症している赤ちゃんは、食物アレルギーになるリスクが非常に高いことがわかっています。食物アレルギーを予防するためには、乳児期早期に湿疹やアトピー性皮膚炎が見つかったらすぐに治療してあげることが重要です」(山本先生)

こちらの記事でも取り上げたように、私たちの身の回りには食べ物のアレルゲンが存在しています。子どもの寝具を調べたところ、100%の寝具から鶏卵アレルゲンが検出されたという結果も(※4)。それらすべてを取り去ることはできませんが、肌のバリア機能を正常に整えて、外からのアレルゲンの侵入を防ぎ、アレルギー反応の原因となるIgE抗体を作らないようにすれば、食物アレルギーも予防対策ができるということです。

この考え方に基づき、同センターは2017年から「乳児アトピー性皮膚炎への早期介入による食物アレルギー発症予防研究」(PACI Study・パッチスタディ)を実施。2023年にその結果が公表され、世界で初めて「皮膚への早期の治療介入が食物アレルギーの予防につながる」ことが実証されました(※5)。

研究では、アトピー性皮膚炎の赤ちゃんに対し、ステロイド外用薬などを使った積極的な治療を行った群は、標準的な治療群と比較し、鶏卵アレルギーの発症を25%削減できることがわかりました。

また、2017年にはアトピー性皮膚炎のあるお子さんに鶏卵を早期摂取することで、鶏卵アレルギー発症が抑制できることも世界で初めて明らかになっています(※6)。
詳細や具体的なやり方については、同センターの「離乳食における鶏卵摂取の考え方」(※7)を参考にしてください。

つまり、食物アレルギーの発症を抑えるには、①アトピー性皮膚炎の発症予防や早期治療により経皮感作を防止すること、②アレルギーの原因となりやすい食物の経口摂取を適切な時期になるべく早く開始して、経口による免疫寛容を誘導すること、の二重の介入が有効なのです。

このように、赤ちゃんが食べ物を食べられる時期になったら、食べられる食材を少量ずつ食べさせてあげましょう。ただし、すでに食物アレルギーを発症しているお子さんや湿疹があるお子さんは、アレルギー症状がでてしまう場合がありますので、かかりつけの医師としっかり相談して進めてください。

次のページ ステロイド外用薬はアトピー性皮膚炎の治療に有効です

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