アトピー性皮膚炎から始まる“アレルギーマーチ”からわが子を守る方法

2025.03.06

ミキハウス編集部

ステロイド外用薬はアトピー性皮膚炎の治療に有効です

新生児期からどんなにこまめに保湿をしていても、アトピー性皮膚炎を発症する赤ちゃんはいます(アトピー性皮膚炎の原因は様々あるためです)。

一度、炎症を起こしてしまった肌は保湿剤だけでは症状を改善することはできません。そのために多くの医療機関で使用されているのがステロイド外用薬。

「私たちもステロイド外用薬を塗って炎症の治療を行っています。ただ、ステロイドはなにかと勘違いされている側面もあり、未だにステロイド外用薬はよくない薬だと信じている方もいらっしゃいます。たしかに間違った使い方をすると副作用がでる場合があります。しかし、用法・用量をきちんと守って使えば心配はいりません」(山本先生)

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ステロイド外用薬には強さのランクがあり、患部や症状に合わせて使い分けます。

軽症であれば、“リアクティブ療法”といって、症状があるときだけステロイド外用薬を塗布するだけでもよいのですが、中等症や重症のアトピー性皮膚炎など、炎症がぶり返して悪化するお子さんに推奨しているのは、“プロアクティブ療法”です。症状が治まってもステロイド外用薬などの抗炎症治療薬を、副作用がでないように気をつけながら間欠的に塗り続けるのが特徴の治療法です。

山本先生によると、症状が改善してつるつるすべすべになっても、すぐに薬をやめるのではなく、少しずつ量を減らし、副作用がでない範囲で塗布を続けていくこと(プロアクティブ療法)が必要な場合もあるそうです。最近は、赤ちゃんに非ステロイド外用薬が使えるようになったため、「非ステロイド外用薬を使う“プロアクティブ療法”でも、つるつるすべすべが維持できるようになっています」と教えてくれました。

「SNSなどで情報を得ることが当たり前になってきましたが、皮膚関係の情報については玉石混交。なかには誤った情報もあり、それを信用してしまうと、治療どころか症状を悪化させることにもなりかねません。是非とも、公的な機関が出す情報を見ていただきたいと思います。日本アレルギー学会と厚生労働省が運営する『アレルギーポータルサイト』(https://allergyportal.jp/)も参考にしてください」(山本先生)

アトピー性皮膚炎の症状が治まって、保湿剤だけで肌をきれいに保てるようになる赤ちゃんも多いそうです。アレルギー性疾患をコントロールし、湿疹やかゆみに悩まされることがなくなった子どもたちは毎日をのびのびとすごせるでしょう。

赤ちゃんの肌に何か問題があったら医療機関で診てもらい、保湿やお肌の治療を始めてあげたいものですね。

 

<参考資料>

 

山本貴和子(やまもと きわこ)

国立研究開発法人 国立成育医療研究センター アレルギーセンタ―・総合アレルギー科医師 日本小児科学会・小児科指導医 日本アレルギー学会・専門医 医学博士 子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)メディカルサポートセンター・チームリーダー 「妊娠中からの児のアレルギー疾患予防ヘルスリテラシー教育プログラムの開発と評価」プロジェクト代表

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